コロニー金城

 コロニーを俺達は歩いていた。がたいのいい男――名をゴンジ――は俺のみやげ話を嬉しそうに聞いている。その後ろを挙動不審な構えで歩く少年少女。

 それにしてもコロニーが賑やかだ。いつもは簡素なコロニーだが、今日は露店がいくつも立ち並び、まるで縁日か何かの様だ。どうやら大きな行商隊が来ているようだ。

「今日はやけに賑やかだな。行商隊でも来てるんだろ?」

「へへ、ただの行商隊じゃないぜ」

 ゴンジは鼻をこするとある方向を見た。釣られて俺も目をやる。

 木々の間から何か赤い物が発光していた。俺達は歩を進めると、その巨大な者が目の前を覆った。

「おい……こりゃ、吉野の大行商隊じゃねぇか………」

 溶岩の様な体。黒い岩の様な隙間からは赤い何かが発光している。像の足に指一本が人の背丈はある。赤い目に口からは火の粉と共に灼熱の熱気を吐いている。人型のその体型は優にビルの高さはある。それが目の前で座り込んでいる。

 少年少女は口を開けたまま、驚愕を顔に浮かべ、後退りしている。アスナに限っては俺の袖を何度も引っ張っている。まぁ、初めて見れば誰もそうなる。ましてや空の住人ならなおさらだ。

「大丈夫だ。このモノノケは危害は加えない。飼い慣らされてるって言ったら失礼だが、まぁそんな感じだ」

 俺の言葉を聞いても彼らの表情に変わりは無かった。

「だ、大丈夫なの………?」

 袖を思い切り掴んでいるアスナが言葉を発したが、その声は震えていた。

「どうやって仲間にしたかは知らねぇが、吉野の大行商隊はこのモノノケのおかげでここまでの規模になってる。こんな規模の行商隊はここいらじゃ、吉野のとこだけだ」

 ゴンジは腕を組んで頷いている。しかし、空の少年少女には理解に苦しむだろう。俺がそこへ補足を付けた。

「こっちじゃ、金の回り方はこの行商人が担ってる。物もそうだ。一応、コロニーにも店はあるが、在庫が無くなれば行商人から買い取る。そして行商人は他の土地へ行って、そこで売買をする。そうやってコロニー間の橋渡しをしているのが行商人だ。そんで、ここいらの行商人の中で最大の規模を誇っているのが、この吉野の大行商隊だ。歴史はもう五十年以上はある。その中枢を担ってるのがあのモノノケだ。あれだけの体躯だったら、そうそう他のモノノケは寄り付かない。そのおかげで旅もほとんど安全って話らしい」

 一通り話し終えると俺は少年少女の方に目をやる。すると少年達は目をキラキラと輝かせている。アスナの方は口を尖らせて俺をにらんでいる。

「気に入ったか?」

 俺の問いに一目散に頷いたのは男子達。

「すげぇ、モノノケを飼い慣らすなんて……かっこいい………」

「でも、本当に安全なの? 裏切ったりしたことないの?」

 アスナは鋭い眼光で俺をにらんだ。

「裏切るなんてとんでもない。彼は初代当主、吉野忠助(よしのただすけ)様からずっと共に居られている。もう家族同然です」

 俺達に近づいてきたのは腰の曲がった老人。緑と赤の縞模様の西洋風の衣服に身を包み、緑のベレー帽を被っている。これが、吉野大行商隊の正装だ。

「これはこれは駿河様、よくいらしてくださいました。後ろの方々はお仲間ですか?」

「ああ、ちょっとした事情でな。空の連中でね」

 それを聞くとその老人は大きく頷いた。

「そうでしたか。それでは私達のことは知るはずが無いですね。私は吉野大行商隊の鍛冶をしております笹野総次郎(ささのそうじろう)でございます。以後お見知りおきを」

 老人は曲がった腰をさらに曲げて、深々とお辞儀をした。

「あぁ、こちらこそ……」

 少年達は丁寧なあいさつに少し動揺しながらも、軽く腰を曲げた。アスナは相変わらず口を尖らせている。

「駿河様、大分衣服が傷んでいるご様子。修復いたしますかな? それとも買い替えをご希望ですか?」

「すまない。その前に領主と会いに行きたいと思ってる。その後でいいか?」

「おお、金城ご領主の元に。それではそちらを優先してください。私どもは後、二日はここに居ります。ごゆっくり」

「ありがとう」

 俺は笠を前に倒してその場を後にした。少年少女も後に続く。


「金城様、駿河剣様が参られました」

 ゴンジは垂れ幕の前でかがみ、その奥の陰影に話し掛けた。

「よろしい。入って来い」

 その言葉を聞いた俺は垂れ幕をまくって中に入った。

「お久ぶりです。長老」

「久しいのぉ。しかし、その呼び名はやめい」

 垂れ幕の奥はまるで昔のお城の天守にある様な部屋。四方はふすまで区切られ、時計やアンティークなどが少し置かれている。一段盛り上がった畳の一角にはこのコロニーの領主、金城基勝(きんじょうもとかつ)が鎮座している。赤い着物に黒の袴姿。白髪を団子に結び、顎からは白く、長い髭を生やしている。

「すいません。つい口癖で」

 そういって俺は正座した。

「まあよい。して、今日はわしに会うような事があってか?」

「ええ、こいつらの面倒を見てほしいんです。あんたら、入って来い」

 その言葉に少年少女は一人ずつ、垂れ幕をまくって入って来た。

「む………?」

 長老はその姿を見て少年少女を凝視した。ある種の鋭い眼光を突きつけ、少年少女を見た。勿論、その目で見られれば少し動揺する。

「そなたら、《空》の人間じゃな? 制服を着ているのも珍しいが、それよりもそのあどけない眼で分かる」

「………」

 無論、少年少女は黙り込んだ。しかし、話は俺と長老とで続いた。

「そちの言わんとしてる所は解る。だがな、無知の子供を三人看(み)るのは中々の物じゃぞ」

「だが、長老も見た通りだ。空から追放される子供は初めてだろ?」

 その言葉に長老は頭をかいた。

「うーむ……確かに、子供が降りてくるのは初めてじゃ。じゃが、だからじゃ。だからこそ難しい」

「長老は孤児を何人も育てたじゃないか」

「じゃが、それとこれとでは――」

 そこでアスナがむくっと立ち上がった。

「いいわ。あたし達はあたし達で生きる」

 そう言ってその場から出ようとした。

「お前達はどうするの? あたしに付いてくるの?」

 その言葉に少年達は動揺した。

「そう、ならいいわ」

 そう言い残すとアスナは出て行った。

「おい、これ……」

 長老は止めようと手を前に突き出したが、アスナは出て行ってしまった。

「はぁ――ちょっと行ってきます」

「うむ」


 もう時刻は夜。松明や電気の明かり、月の神々しい明かりだけが頼りだ。

 彼女は少し下を向いてもくもくと歩いていた。そこへゴォォと風の様な唸り声が聞こえた。彼女は反射的に顔をその者に向けた。

「何よ。あんたも所詮モノノケでしょ!」

 彼女の罵声に、闇夜に赤く発光するモノノケはただ彼女を見つめた。

「何か言いたそうな素振りね。でも、言葉もろくに話せないあんたには無意味よ。モノノケなんて……」

 そっぽを向いた彼女にそのモノノケは顔を近づけた。勿論、彼女は一二歩後退りをした。しかし、そこで彼女は止まり、すごい剣幕で怒鳴り散らした。

「モノノケなんて――モノノケなんてこの世に居なきゃよかったのよ! 居なければ……居なければよかったのに……なのにあんた達は居る………人間を食って――人間を滅ぼそうとした悪よ!! だから馴れ馴れしく近づかないで! モノノケならモノノケらしくあたしを食べなさい!!」

 彼女の瞳には涙が溢れんばかりに溜まっていた。目をつむり、その涙が頬を伝わないように堪(こら)えていた。

 すると顔がトラック程あるモノノケが大きな口を開けた。彼女は覚悟した。このままモノノケに食われて死んだ方がマシだと――。

 フォオオォォォ

 まるでそよ風が全身を包んだ様だった。彼女は目を開け、火の粉と共に吹かれる優しく暖かな風に身を投じた。

 感じた。何かを感じた。まるで言葉を耳から聞く様に、その吐息から言葉を感じた。

 モノノケは彼女から顔を離すと、何事も無かった様に目線を遠方に向け、その場に鎮座していた。

「何か、ありがたい言葉でも聞いたか?」

「え? ちょっ」

 俺は彼女に声を掛けると、アスナはすぐさま瞳に溜まった涙を拭いた。

「長老の話は最後まで聞くもんだ。それとも、そういう礼儀作法は空じゃ学ばないか?」

 俺が近寄るとアスナはそっぽを向いた。

「フンッ、あなた達だけで勝手に話が進むのがイヤだっただけよ」

 俺は鼻で笑うと、遠方を眺めるモノノケを見て話し出した。

「このモノノケには《ヌシ》ってあだ名が付いてるんだよ。勿論、モノノケのヌシって訳じゃないだろうが、心を穏やかにしてくれる。あの吐息で。まるで神の慈悲の様に、問いかけに答えてくれる」

「モノノケは神じゃないわ」

「ふっ、ごもっとも。モノノケは神じゃない。でもな、俺はこう考えてるんだ。百年前の現代社会ってのは相当荒れていたらしい。戦争は絶えず起こり、貪欲な人間ばかり増えて格差ってもんが生まれる程だった。そこへどこからともなくモノノケが現れ、現代社会を崩壊させた。俺はこれでよかったと思う。いや、神がそうしたんだろう。だからモノノケは神の使いだったんじゃないかって思ってる」

 その話にアスナはため息を吐いた。

「呆れた」

 その言葉に俺は思わず笑いが込み上げてきた。「ハハハ」と一笑いすると、アスナに目をやった。

「それじゃ、戻るか」

 その言葉にアスナは首を少しだけ動かせた。


「ただいま戻りました」

「――そうか、なるほど。空も中々面白い所じゃな。お、ケン、戻って来たか。この子らの話は実に面白い。勉強になるぞ」

 長老はキセルをくわえながら、少年達と談笑していた。少年達も緊張の糸は解れているようだった。

「長老、勝手に話進めないでくださいよ」

「おお、それは悪かった」

 そういうと長老は一服して、タバコの葉を灰皿に落とした。

「長老、それで――俺の話は……」

「うむ、わしはこの子らの話を聞いて面白かった。空の事がよく分かる。そこで一つ案が浮かんでな。どうじゃ、この子らを先生にするのは?」

 長老は自信あり気に身を乗り出した。

「……つまり、空の事を教えると?」

 俺の問いに長老は深く頷いた。俺は少し下を向き、少年少女に目をやった。

「お、俺は別にいいけど……どっちかって言うと、シンタロウの方がいいぜ。ガリ勉だし」

 カズトの勧めにシンタロウは首を横に振った。

「そんな、俺別にガリ勉じゃないし、歴史が得意ってだけだよ」

「ほう、歴史が得意とな。それならば、是非とも先生になってもらいたい」

 長老が興味を示した事で、シンタロウは苦笑いをするしかなかった。

「アスナはどうする?」

 カズトの問いにアスナは身を縮ませた。

「あ、あたし達ただの高校生よ。まだ、教わる側だし……それに『隠蔽』されて追放されたの忘れたの?」

 その言葉に少年達の顔が曇り出した。

「何か事情があるようじゃな。悩みは溜める物では無いぞ」

 そういって長老はキセルにタバコの葉を詰めだした。

「あ……あたし達……モノノケに親を殺されたの………」

 その言葉に俺と長老は目を大きく開いた。

「空は――安全じゃないのか?」

 俺の質問にアスナは首を横に振った。

「いくら雲海の上を飛ぶ《箱舟》でも飛行型のモノノケには襲われるわ。でも、それを防衛する武器は備わってる。だけど……それでも奴らは箱舟の中に入ってくる………」

「《箱舟》というのは《空》の事か?」

 長老の問いにアスナは首をこくんと下げた。長老はキセルをくわえながらその話の続きを聞いた。

「ある日の事だった。あたしは両親と一緒に学校帰りにショッピングモールへ行こうとしたの。そこで立ち寄った公園であのモノノケに会ったの。白銀のドラゴンに………奴は箱舟の天井を貫くとそのまま公園に降り立ったわ。その後は………」

――白銀のドラゴン……

俺はそれに思い当たる節があった。

 するとアスナは涙を堪え切れずに言葉が詰まった。そこへカズトが話し出した。

「公園には俺達を含めていろんな人が居た。でも……気が付いたら俺とシンタロウとアスナしかいなかった。一瞬の出来事だった。何も分からなかった。それで俺達は《政府》に連れ去られるままに地上に落とされた。後はケンも知ってる通り………」

 その話に俺と長老は硬直した。長老に至ってはキセルをくわえているが、一回も吸わなかった。

「そうか……それは大変じゃったな」

 そういってただ焼けただけのタバコの葉を灰皿に捨てた。

「だから――あたしはモノノケが憎かった。モノノケなんて居なければ……よかったのに……奴らは人殺しよ………」

 アスナは涙を堪えながら必死の思いで出した言葉だった。

「……ほら」

 涙を拭うアスナに俺はハンカチを差し伸べた。少し汚れたハンカチを手に取ると顔面を隠す様に涙を拭いた。

「だが、《隠蔽》ってどういうことだ? それに《政府》って――空は百年前と変わらないのか?」

 その質問にカズトが口を開いた。

「百年前の政府がどうだったかは知らないけど、行政機関ってのはある。それで、これは噂だけど、箱舟にモノノケが侵入するのを政府は隠蔽してるって話だった。マスコミもモノノケの襲撃は伝えないし、政府は『箱舟は絶対安全』って言ってたから。でも、実際は違った。モノノケは簡単に侵入してきた。俺達は政府の口車に乗せられてただけなんだ。それを知った俺達は………」

 その後の言葉は言わずともそこにいる誰もが分かっていた。

「なるほどな。政府という者、百年経っても変わらぬか……」

 長老はキセルを叩きながら物思いにふけった。すると、ふと長老は壁に掛けてある振り子時計を見た。

「おや、もうこんな時間か。今宵はこのコロニーに泊まりなさい。今日は大変な思いをしただろう。それに色々と話してくれた。先生になるかは置いといて、とりあえず今は休みなさい。下がってよし」

 その言葉に俺は土下座をした。

「泊まる場所は俺が教える。付いて来い」

 そういって俺達はその場を後にした。


「らっしゃい。もうじぃとの話は終わったか?」

 土壁に木の柱という木造建築の簡素な旅館に俺達は入った。フロントにはゴンジが居座っている。

「ああ、今日は四人分で個室にしてくれ」

 俺はカウンターにバラバラとお金を置いた。

「ウチの旅館じゃあ、空のお客さんには最初無料で泊まらせてるんだ」

 そういって少年少女の方を見てウインクをした。勿論、少年少女は少し怖がっている。

 俺はその言葉に鼻で笑った。

「そんなキャンペーンしてたのか。それじゃ、俺の泊まり賃だけでいいな?」

 それにゴンジは頷いた。

「二〇二号から二〇五号まで使っていいぞ。そんじゃ、おやすみ」

 そういって手渡されたのは木の板。四枚ある板にはそれぞれ番号が振り分けられている。

「あんたらで好きな番号を選びな」

 そういって木の板を少年少女に見せた。

「………」

 少年少女は無言でバラバラに木の板を取っていった。随分と顔には疲労の色がうかがえる。

 板を持ち寄った俺達は二階へと上がり、それぞれの番号が振り分けられている部屋の前に来た。そこでアスナは板を見て疑問を顔に浮かべた。

「ねぇ、これ何に使うの?」

「ふすまの横の所にポケットみたいのがあるだろ? そこに差し込むのさ」

 それにアスナは不安を口にした。

「……カギは………?」

「勿論無い」

 その言葉にアスナはうつむきながらふらついた。

「あたし女よ! カギも無い部屋に泊まれる訳ないじゃん! 信じらんない!」

 そういって腕を組んでそっぽを向いた。俺はそれに笑いで返した。

「ハハハ、ここは空とは違うんだ。誰も襲ったりしないさ。ま、襲うと言ったらモノノケぐらいだが、今日はヌシも居るからモノノケは来ないだろう。それじゃ、今日はゆっくり休みな」

 その言葉に少年と俺は部屋に入って行った。しかし、俺が部屋に入ろうとした時、アスナが袖を掴んだ。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。そ、その……ちょっとあたしの部屋の前に居て………」

 最後はゴニョゴニョと聞きずらかった。

「は?」

「だから……あたしの部屋の警護して………」

 アスナは顔を真っ赤にしてうつむいている。

「だから、襲う奴なんてこのコロニーには居ないよ」

「そ、そうじゃないの! 一人じゃ眠れないの………べ、別にいつもそうじゃないからね! 今日だけだからね!」

 そういって口を尖らせ、そっぽを向いた。それに俺は一つため息を吐いた。

「分かったよ」


 ふすまを挟んで俺とアスナは互いに背を向けて座っている。

「ねぇ、あの《ヌシ》ってモノノケの事だけどさ」

 不意にアスナが質問をしてきた。俺はつむりそうな目を開き、首を振った。

「ああ、ヌシがどうした?」

「あれって本当にモノノケなの?」

 その言葉に俺はくすっと笑った。

「モノノケじゃなきゃなんだ?」

 それにアスナは頬を膨らませた。

「もういい。お休み」

「それじゃ、俺も部屋に帰るよ」

「えぇ、待って!」

 そういって勢いよくふすまを開けた。俺はもたれていたため、そのままゴロンと倒れた。俺とアスナは目を合わせているとアスナの顔が赤くなった。

「変態!」

 勢いよく今度はふすまを閉めるが、当然俺の体が引っ掛かる。

「いって、すまんすまん」

 そういって上体を起こすとパシンとふすまが閉められた。

「で? ヌシがどうしたよ」

 俺は体をさすりながら聞いた。

「あれっていつからなの?」

「人間の側に寝返ったのが、か?」

 それにアスナは頷いた。

「うん」

「俺も詳しくは分からんが、初代当主の事は鍛冶場のじいさんから聞いただろ? 何でも元は宿敵同士だったんだとよ。だけど闘いを重ねる内にお互い認め合ったとかどうとかで今に至るらしい」

 それを聞くと今度はアスナがくすっと笑った。

「何それ、すごく曖昧」

「俺も鍛冶場のじいさんから聞いただけだから、そんなに分かる訳ないだろ」

「ふ~ん」

 なぜかその声は楽しく聞こえた。

「あたし、あのモノノケなら許すかな」

 その言葉に俺は鼻で笑った。

「こっちも空以上に分からない事だらけだぞ。だから面白い。実は俺……そのために旅してんだ。なぜこの世界が生まれたのか。モノノケとは何か。色々追及したくて各地を転々と回ってるんだ」

「………そう………」

 微かにアスナが答えた。

「アスナ? お~い………もう寝たか。はぁ……それじゃ、俺も寝るか」

 俺は大きなあくびをすると、その場にうずくまった。

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