第6話 トントン拍子に
アスから指を刺された僕は直立不動になる。
え、今アイツは何て言った?
僕が犯人だって?
「いきなり何を言っているの? 冗談にしては言ってはいけない部類だぞ?」
「おやおや? 怒らせたようなら失礼。でも、ショウ、君があの女子生徒を殺したのは間違いないんだ」
ニヤリとアスは口角を上げた。
「そもそも僕が粛清部隊という根拠は何処にあるんだ」
「これさ」
アスは僕のパソコンの横に置いてあった黒い機器に手を触れる。
「これって、サーバーだろ? 専用端末からでも潜り込めて、しかもわざわざ学校のネット規制の包囲網に弾かれないように設定してある特別製」
「なっ……」
「おかしいと思ったんだ。わざわざ学校サイドがSNSなどを閲覧禁止しているというのに、あのサイトだけは繋がるのかを。答えは至極簡単。学校内で単独サーバーを作ればいいだけ。ごく限られた人たちしか使わないから、そんなにサーバーも大掛かりにならなくて済む」
アスの完璧な証明に僕は額から冷や汗が流れる。
「じゃあ、僕が襲われたのはどう説明するのさ。それに僕はその粛清部隊のページにターゲットとして載っていたんだろ?」
「そりゃ、君をターゲットにしたのは、殺された女子生徒の彼氏だからな。彼もまた粛清部隊の一員だった。ショウがその粛清部隊のページを作った張本人とは考えていなかったらしいがな」
「聞いたような口ぶりだね」
「あぁ、だって直接聞いたもの。本人に」
アスの答えに僕はえ?と聞き返す。
「ショウが襲われていた日、実はのびている君の横に君を襲った本人がまだ立っていたのだよ。事情を聞いたら彼女をコイツに殺されるところを目撃したからやったって聞いてね。コイツを捕まえて欲しいと頼まれたけど、まだ判断材料が足りなかったから暫く待ってもらうことにしたんだよ」
アスはことの全てを知っていたのだ。
「元々、この学校の一人の教師から匿名で依頼を受けていたからそれと平行して調べると、なんと、全てはショウ、君が中心となって糸を引っ張っていたっていうのが分かってね。これは一石二鳥だって思ったよ」
クツクツと笑い出すアスを僕は睨み付ける。
「君の事を少々調べさせてもらったよ。君ってポニーテールをした女の子が好きすぎて、好意を抱いた女の子をよくストーキングして中学校で問題になったらしいね。そして、地元の高校には入学を断られて、わざわざ遠くの才宮高校を受験してギリギリ合格。この学校なら君の過去をしる人間は誰も居ないし、さぞかし良い環境だっただろう」
ニヤニヤとしながらアスは話を続ける。
「そして、この学校でも好みの女子生徒を見つけて付け回っていた。すると、そんな彼女に彼氏がいるということが発覚。別れさせようと夜に校舎へと呼び出し、脅すつもりで軽く彼女を階段から突き落とした。しかし、彼女は頭の打ち所が悪くてそのまま死んでしまったというわけだ。違うかな?」
トントン拍子に事件が解決されていく。
このままじゃ、僕は……僕が終わってしまう。
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