経過報告1

――はい。


対象が接触しました。


はい。計画より早くなってしまったのは私の不注意でした。ごめんなさい。


結果は……あまり芳しいものとは言えませんね。完全に振りだしに戻ったとは思わないですが、多少の後退は否めないです。


いえ、アレは使っていません。使おうかとも考えましたが……。



――これは、彼女が乗り越えるべき試練、だと思いましたので。



え? はい。そうです。後退、という言い方は適切ではなかったかもしれません。麻痺して痛みを感じなくなった傷を再びえぐった、という感じでしょうか。


ええ。それは大丈夫です。



彼女なら、乗り越えられると思って――信じています。



ええ、はい。すこし、荒療治になるかもしれませんが。


あはは、そうかもしれません。私は……いえ、何でもないです。


……わかっています。そのときは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る