第2話 町娘来城ス
私服でいいのだろうか。
そうリッカは城の門の前にまで来て、やっと悩んでいた。
服装に関して、無頓着な自身の性格もあったが、普通の家事を行う洋服で来たのを後悔した。
「仕方ない…。ま、向こうも町娘に期待なんかしないでしょうし……。」
今更だし、帰ったとしても城に合う洋服など持っていない上に、面倒だなと思ったリツカは、そのズボラな性格のまま普通に来城することにした。
白いありきたりな城の堀にかかる橋に、番兵以外特に行きかう人はいない。
とりあえず中に入るのを聞くために、番兵に話しかけると、奥に一人向かった後、一人の案内人がリツカを連れていくことになった。
白の奥へ通されると、中央の豪華な広場を避け、季節を彩るためと思われる中庭を横切り、右横の階段を上がった後、窓から一つの塔が見える広々とした個室へと案内された。
「ここで、お待ちになるように。」
そう案内人が立ち去ると、一人、赤色と白で統一された部屋に残されてしまった。
見渡してみれば、あるのは、広いテーブル、豪華なタンス、鏡、壁に宗教画が数点。小さなテーブルの上に、知らない花々がデンジャラスな香りを漂わせながら瓶の中に居座っている。
とりあえず、手頃の豪華そうな椅子に座ってみる。
なんというか、よれよれの古したものに慣れていると、こうもメンテナンスが行き届いた、ぴんと張った綺麗なクッションが嵌めてあるのは居心地が悪い。
長く座れそうにないなと思ったので立ち上がると、丁度目の前にタンスがあった。
……開いてみようか。
そうドキドキ、と手を伸ばす。大したものではないだろうと思うが、何かちょっとした血が開けよとそう言っているかのように、騒いだのだった。
トントン
と、ノックの音がした。
「は、はい――ッ!」
慌てて、ドアの方に顔を映すと、そこにいたのは――黒い麗人だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます