14歳の町娘がドラゴンを退治しに行かないといけなくなった話

春野 一輝

第1話 嘘!?なんで私が!?ドラゴンを?!

 選ばれしもの、そう勇者と呼ばれるものは、普通天命というものによって導かれ、その世界を救う定めにある。

 たとえその外れにいる私も、いずれその運命の女神によって新郎を迎え、幸せな毎日を送るのだろうと、そう思っていた…。



 が



 邪竜を倒して来い。

 という謎の使命を得たのは、突如国からの使者が家に来たのが始まりだった。

 

 「町娘のリッカ!そなたに国王様、直々の命でそなたを邪竜退治のリーダーとする!」


 剣も持てない私に、確かにその使者は私に告げた。


 「ちょ、ちょっとまって、私ただの町娘なんですが!?」


 「拒否権はない!以後の質問は、城の一室で話すこととなる!準備ができ次第来られたし!」


 そう言って使者はすぐにも去ってしまった。


 「どういうことなの…。」


 そう膝をつき、途方に暮れるリッカ(14)。

 腰まで長い茶髪に同じ色の目をした、ごくごく平凡な顔立ちの町娘だ。

 十にもならない頃に、両親を亡くし、その後、親切な親戚のおばちゃんに育てられている。

 特にこれといった特技はない。


 「おかしい!!私が邪竜退治なんて、おーかーしーい!!」


 叫び声をあげても始まらないのはわかっている。

 じたばたしても始まらない、とりあえずその城に行き、疑問を投げかければいいのだ。それ以外道は存在しないし、自分のやることは決まっていた。


 「しかたない…いこうか。」


 リッカは重い腰を上げると、多少の髪を整えて、城へ足を運ぶことにした。

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