【赤い糸と黒い鎖 Ep.5】
ん…んん…。
うっすらと意識が戻ってくる。視界も少しずつ綺麗に戻っていく。それでもまだ頭はぼぅっとして少し痛い。目をパチパチとさせ、乾燥したまぶたに潤いを取り戻す。するとそこは、俺がいつもいた牢よりもっと薄暗く、コンクリートの壁に鉄の扉があり、壁の一面はシャッターで覆われていた。まだズキズキする頭の中で状況を整え、冷静を保とうとする。息をすーっと吸い、はぁーっと深く息を吐く。そして目をゴシゴシとこすり視界をクリアにする。しばらくすると、天井に付けられていたスピーカーから、声が聞こえて来る。
「やあ。お目覚めかい?」
それは、聞いたことのない声だった。
「私は『異生物実験研究所』の長、アルフォート・クライシスだ」
俺は異生物と聞いて少女のことを思い出す。しかし、俺には目障りな言い方であった。
「彼女は人間だ!勝手に異生物とか言ってんじゃねぇ!」
俺はスピーカーに向かって大声で叫んだ。少女を人間でないと否定され頭にきたのだ。
「はぁ…君は本当に愚かだ。これでも、君は彼女が人間だというのかい?」
と奴は言うと、後ろのシャッターがガラガラ…と開き始めた。そこは防弾ガラスよりも硬いであろう分厚いガラスと、その奥にはとても大きい空間があった。そして下を覗くと、中央には大きな機会に繋がれたカプセルに入れられている少女の姿があった。
「おい…っ、少女に何するつもりだ…!」
「いやはや、君に正しいことを教えてあげようとしているだけだよ。君が牢獄の外へ連れてきてくれたおかげで、私たちも少女を連れ出しやすかったよ。まあ、罪のない命を少し削ることになってしまったが」
俺はすぐに麻酔を打たれた後、何が起こったのかを悟った。
「この少女は私たちが大切に預からせてもらうよ。この子はこの世のすべての争いを解決し、そして全てを統治できる『力』を持っているからね」
俺は男の自分のことだけのために少女を利用していることに、とても腹立った。俺は少女を返せと言った。何回も、何回も何回も何回も。でも、男は俺に言う。
「うるさい男だ。まるで動物園の発情期の猿と変わらないな。言ってダメなら見せてあげるよ」
ヴィィィィィン…。彼の声を合図に、機械が音をあげる。すると、カプセルの中の変な液体が抜かれ、そしてカプセルの口が開く。
「あの機械には、彼女の被虐の過去が詰められている。それを彼女の頭に繋がれている機械に流し込めば…後は分かるよな?」
…!俺はすぐに中止を訴えた。しかし、もうその時には遅かった。
「ああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
少女は叫び出した。今まで聞いたことのない、そして、あの可愛らしさもどこかへ消えてしまった。いや、消えたというより、豹変した。少女の背中はパックリと割れ、そしてそこからタコのように、濃い緑のような黒色のようなツタのような触手が出てきた。それは壁を貫いていく。
ヒュン…ドコォ!!
「うわ!?」
そのうちの一本が、思いっきり目の前の分厚いガラスを貫いた。そしてそこの日々から、ガラスの半分がバラバラと砕け散った。そして、少女は触手に支えられ、空中へと浮いていく。少女の眼は、あの時と同じように紅く染まっていた。
「さあ、
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