第12話 報酬は「こん棒」
俺たちは裏面の入口付近にあった祭壇のところにきていた。
「こん棒……」
「見事にこん棒だね」
俺が手に入れた赤のジェム、タスクの青のもの、そして残るこの緑のジェム。ジェムは大きく分けてこの三種類だ。
石版には『木のこん棒』とだけ表示されていた。裏面で手に入る最も不要なクズ報酬がこれだ。
「まあ普通こんなもんか」
「そりゃそうだよ、運良すぎたんだよ」
「赤ジェム引いたやつがそれ言うかねー」
俺が手に入れた赤のジェムは、
タスクが手に入れた青ジェムは、身体能力などを上げることができる。これは裏面の外――普通の世界でも効果が持続するものであるため、裏面攻略をしない人にも人気があり、高額で取引されているという話だ。
勿論、それを手に入れたばかりの俺たちはそんな取引をしたことはないが、ネットの情報や実際に取引をされている所を見ると、眉唾ではない。これも簡単に言えばレアだ。
そして残る緑のジェムは、
誰が決めているのか、
「これで大分要領は掴めたろ。明日は土曜だし、
「攻略したそばから元気だな、タスクは……まあ行くけど」
「そうこなくっちゃ! 明日からはガンガン攻略してこうぜ!」
二回目の
そのまま攻略を終えた
タスクに別れを告げると、俺も家路につく。
***
「ただいまー」
「あら~、よしくんお帰りなさい~」
「お、おかえりなさい……!」
俺が玄関で帰りを告げると、母さんとユーリが声を返してきた。
見ると二人で夕食の仕度をしているようだった。早速馴染んでいるユーリと母さんを見てなんだかなあとも思うが、もう決まったものだししょうがないだろう。
昨日、家族みんなとユーリで話した結果、ユーリが
今日タスクと
「よしくん見て見て~、このお味噌汁はユーリちゃんが作ったのよ~! なんだか娘ができたみたいで母さん嬉しくなっちゃうわ~」
「教えてもらって作っただけです……美味しくできてるといいんですが」
「絶対美味しいわよ~、ユーリちゃんはいいお嫁さんになるわ~」
「そうなんだ、仲よさそうで何よりだよ。ははは……」
居間の方に行くと、母さんが声をかけてくる。
早くもユーリを
「じゃあ、俺部屋にいるから」
「あきひこさんが帰ってきたらご飯にするわよ~」
「はいはい」
何となく居心地が悪いような感じがして、つい自室に
自分の家なんだけどなあと思いつつも、階段を昇り部屋に入る。
それからほどなくして、父さんが帰宅する音が聞こえ、呼ばれるままに夕食を取り、その後はまた自室に篭もった。
夕食時にも特に
そうして、明日に備えて今日は早く寝ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます