第1話 現実的転生

 目の前が、暗闇から鮮やかな世界に変わったとき、僕はどうやってここまで来たのか、わからなくなっていた。

 ふと前を見ると、現実の灰色のような楽しくない世界とはまるで違う、鮮やかな石造りの街並みが飛び込んでくる。

 オレンジ色の屋根に包まれている不規則な形をした建物、そのほとりには川が流れている。

 もう、一言でいえば、インターネットで「中世ヨーロッパ」で検索して出てきたみたいな風景である。いや、まぁこれが一番伝わりやすいかと、、、、、。

 そんなこんなで俺は、異世界に来ました。


 RPGの最初の町的なところから、大きな道に沿って道なりに歩くと、活気づいた声が聞こえてくる。

そこには、異世界転生でおなじみの大きな市場が開かれていた。

 「うえーい、安いよ、安いよ。」

 「よっしゃ、これ、買います!」

 「いや、待ってあともう少しまけてっ」

 「お兄さん、こんなのどう❤?」

若い女性が、セクシーな衣装を着て宣伝している店や、「おおきなモイネロイモ」というよくわからない看板を出してい店など、癖の強い店たくさん並んでいた。

 沢山の人や、いい匂い、不思議な商品など、どれをとっても興味深い世界が広がっていた。

 あと、町の人からのニヤニヤした視線。うっとうしい。

 でもそこまで嫌な気がせず、むしろ心地よいくらいです。

突然だが、ここで整理しよう!

 俺は気づいた。町の人の言葉や、看板の文字はすでにれっきとした日本語になっている。流石に売っているものや、人種のとかはその国の設定になっているけど。

 歩いている感覚や、匂い、人の表情など、普通に生活していくには、

どれをとっても日本とは違う異世界である。であるがぁ、俺は普通の感覚の持ち主です。

 今まで、ずっと勉強してきました。親が借金をしてお昼御飯が、ずっとキャベツだったことがありました。そのほか、いきなり世界観を壊すことを思ってしまいました。

 そうこれは、夢です。夢。それかVRとやらだろう。

 ごめん、流石に転生とか騙されない。

 転生後ほんの30分ほど。あかん、もう現実を思い出してしまいました。

 あれだ、俺異世界向いてないな。

 


といろいろ思ったそののちに、探検することにしました。

せっかくなので、この空想世界でいろいろツッコミながら楽しみます。


 ちょうど市場の終わりが見えてきたころ、ぽっちゃりとしたおばちゃんが話しかけてきました。

 「ねぇ、そこのあんた。見ない顔と格好だね。どこから来たんだい?」

見かけは違うが、大阪のおばちゃん的な存在だと想像してもらえればありがたい。

「いやー、遠い日本というとこから来ました。ってかあれですね。今って何時代ですか?ずっと旅してきたものでわからなくなって。」

 とまぁちょっとノリノリな感じで話を合わせて答えてみた。あと文章めちゃくちゃだな。

「うはー、ニ、ヒョン?聞いたことないねぇ。うーん。まぁいいや。そんならこの町は初めてなんだね。ちなみに今はDT(ドューテイ)17年だね。」

 作った人の悪意を感じた。もしくは、作者さんは、そんなんだろうか。

「ここは、ホッシード王国。周りには湖で囲まれているから、上から見ると海に浮かぶ孤島みたいになっているんだよ。ここらの都市部は比較的安全だから、ここでゆっくりしていくのがおすすめだよ。」

 ふーん、ということは都市部以外は危険なのか。

 まぁでも、どのくらいうまく作られているか、町の外に出てみるとしよう。

「あの、実は王様に会いに来たんですけど、城はどこにありますかね?」

いや、せっかく来たんだからね、王様に会いたいですよね。


すると、突然おばちゃんの顔が変わった。

「だめだ、だめだ、それはだめ。今、王宮は物騒なんだよ。いくら兄ちゃんが手練れでも、危険すぎる。

 この都市部は、ホッシード王国領内にあるが、今はほかの国の王様アレクサンドロス様の自治区になっているんだよ。だから比較的安全なんだ。」


すると、「王宮」の言葉に反応したのか、だんだん周りに人が集まってきて、それぞれにしゃべりだした。

「あいつ、王宮にいくのか?」

「おいおい、正気か。」

「よく見たら見たことない格好やん。髪の毛も黒いやん。」

「おいおい、王宮は次の王子が殺されたんだろう。今は、王女とその兄弟だけなんじゃ、、。」

「いや、待てあれはこの男、噂の旅人のクロードじゃないか?」

「そういわれれば、奇抜な服装を見ると、そうかもしれない。」

「えっ、ホントあれクロードなの?」

「母ちゃん、あれクロード?」

いや、人数多いから。説明は2人くらいでいいから。

あと、噂の旅人クロード?なんだその中二感丸出しの二つ名。

そのせいで、王宮の話、薄くなったわ。

ということは、話を進めるためには、王宮に行くのかな。

「ちなみに、王宮はどうやって行けばいいんですか?」

ちょっぴり、勇者っぽくカッコつけて言ってみた。

「それは、ここから数キロ進んだ先に、グチャナっていう町がある。

そこから、馬車に乗り換えて、半日ほどすれば、白い色のお城が見えてくる。

そこに、王様は住んでいる。まぁ、生きているかはわからないけどね。」

 グチャナ?

「もし、危なかったらいつでも戻ってきな。ここは、アレクサンドロス様が守ってくれているらね。」

そういって大阪風おばちゃまは、りんごと2000ドリスというお金を授けて俺を送り出してくれた。


いよいよです。

ここから夢の中での冒険スタートです。

もう少し、ゆるく参ります。


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