第16話 監禁生活 五日目 昼 ①
三井のいじめは、相当悪質だった。
むしゃくしゃするたびに、暴行を行い、
何度も何度も、謝らせるというものだ。
何もしていないのに、ただ、良かれと思ってやったことだったのに、
そういう思いがつのり、三井は、何も信じなくなった。
自分の行いが、本当に正しかったのかを疑った。
きっと、何もしなければいい、ただ、従っていれば、許してくれるだろうと、
そう思い、三井は、いじめそのものを受け入れてしまった。
自分が悪いのだから、暴行を受けるのは当たり前、
自分がすべ悪いのだから、謝らなければならないのも当たり前、
三井は、抵抗することをあきらめ、
自分を信じることを、放棄した。
いじめが、終わった今も、三井の口癖は、『ごめんなさい』だ。
トラウマに近い、もしくはそれ以上のショックを受けた。
…何も考えていないわけではなかった。
あいつとあまり会わなくなってからも、ときたま、心配はしていた。
あいつは、また、信じることができなくなるんじゃないかと。
また、いじめを受けるんじゃないかと、
三井は、泣いていた。いつもは、取り繕って、平然としていても、
やはり、苦しいんだろう。
…今、学校で何が起こっているのか知りたい、
いや、知らなければならない、
こんな時に頼れるのが、あいつしかいないのが癪だが、仕方ない、
三井、ごめんな、少し、自由に動かせてもらう。
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