第4話 成人の儀
「ノギ、ノギ!
話があるから来て!」
俺は精神統一をしてる最中に声が聞こえてきた。
この声は…アノウか。
俺はそう認識すると精神統一を止める。
どうせ、アノウからの用事がある以上精神統一できない。
俺は走り出して声の主たるアノウの下まで行く。
「アノウ、どうしたんだ?」
俺がそう言って出てくると嬉しそうな表情を浮かべてこちらに駆け寄ってくる。
やはり、可愛い奴め。
俺はそう思うと同時にアノウの頭を撫でていた。
因みに、今俺達は12歳で明日、誕生日を迎えようとしていた。
アノウが吸血鬼だとわかった時は少しだけ一悶着あったが、今となっては皆んな受け入れられている。
アノウとも俺の家は仲が良く、俺とアノウは仲が良い。
しかし、アノウが俺以外にあまり近寄らない。
少し心配だ。
まぁ、役得とは思ってるけど。
因みに俺達と同い年の奴はあと三人いる。
俺の年齢の子供が一番多いらしい。
「んで、何の用だ?」
俺は頭を撫でるのをやめて本題を聞く。
するとアノウは名残惜しそうに俺の手を見ながらそういえばと手を叩く。
「そうだった、あの成人の儀の時…」
「ダメだ」
俺はアノウがいいから前に否定の言葉を放つ。
「まだ何も言ってない!」
別に俺はアノウを苛めたくて言った訳ではない。
「お前な、そろそろ一人でも寝れるようになっておけ。
あと、別に俺じゃなくて同性のラミナとレンナでいいだろ?」
「でも…」
「でもじゃない、何なら今日は一緒に寝るから我慢な」
俺はアノウに優しく悟らせる。
俺だってアノウと一緒に寝たい。
しかし、男が一人いる以上そういうことは出来ない。
俺は再びアノウを優しく撫でる。
「う、うん」
少し不満そうだが、頭を撫でてもらい喜んでいるご様子だ。
すごく可愛い。
このまま、襲ってしまいたいくらい。
まぁ、しないけど。
「とりあえず、俺がもう少し訓練をしてるけど、お前はどうする?」
「少し付き合って行くわ」
「そうか」
そうして、俺達二人は木剣を持って模擬戦を行う。
6年前くらいに俺は父さんから剣術を教わり、ある程度教わったあたりから我流の剣術を使っている。
事実、同年代の中で剣が一番強いアノウとも互角に渡り合える。
そして、数時間が経過して夕暮れになる。
「そろそろ終わりにするか」
「そ、そうだわね」
いくら剣術が凄くても俺とは違い、体力はあまり無いようでアノウは息を切らしている。
「アノウ、明後日が楽しみだな」
成人の儀を行う場所は馬車で1日半はかかる場所にある。
事実上、成人の儀を行うのは明後日ということになる。
「明後日?
明後日って何かあったっけ?」
アノウは不思議そうに首をかしげる。
まさか、アノウはこの程度の簡単な計算も出来ないのか?
そんなこと、ないよな?
「アノウ、明日の予定は?」
試しに俺は明日の予定を聞いてみることにした。
「えっと、馬車で中継地点のトアラの町に行って、その後に成人の儀を行う教会があるミラアの町に行くんでしょ?」
うん、時々思う。
アノウはそういえば脳筋思考になりかけているんだった。
これは今日は少しだけ勉強させるか。
「ねぇ、どうしたの?
ノギが何故か怖い顔になってるけど…」
「いやー、何でもないよ」
その日、俺の家からアノウの絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。
************
次の日になり、俺はアノウと一緒に起きる。
別に朝チュンではない。
ていうか、成人の儀の前にアノウに手をだした日には母さんに追い出される。
「おはよう、アノウ」
「おはよう、ノギ」
俺たちは挨拶を交わしてお互いに背を向けて着替える。
チラッと見たい気持ちを抑えて俺は着替える。
俺は決して見ない。
アノウが受け入れてくれるその日まで…。
ダメだ、すぐに受け入れてくれそうだ。
「そういえばアノウ」
「な、ななな何?」
着替えている途中に視線を感じたので名前を呼ぶと動揺の声が上がった。
「最近、一緒に寝た時に抱きついてこないけどどうかしたのか?」
俺はからかいも含めて気になったことを聞いてみる。
「そ、それは…」
恥ずかしいのか言葉にならない声を発している。
「さ、最近ちょっと…」
小声で何か言ってるがなんて言ってるか上手く聞こえない。
悶えないようにするのが必死で上手く聞き取れないのだ。
しかし、更に恥ずかしくなったのか次は黙り込んでしまう。
「どうした?」
「ば、バカ。
言えるわけないじゃん」
そう言って顔を真っ赤にして部屋から出てしまった。
これはアノウが泊まった時の恒例行事である。
始めは母さんから始めていたがアノウがその度にくるものだから俺が言うことに気付けばなっていた。
母さんも言っていた。
『あの子はある意味可愛いの塊よ!』
俺はその言葉に激しく同意したことを今でも覚えている。
俺は着替え終えて部屋を出る。
「ノギっ」
そう聞こえてきたと思った矢先、アノウが抱きついてくる。
涙目で…。
どうやら、転んだようだ。
アノウは普段は泣かない分、こういう時によく泣くのだ。
「よしよし、大丈夫か?
今治すからな」
俺は回復魔法を使って怪我したりぶつけたりした部分を治してやる。
「…ありがと」
顔を真っ赤にしながらアノウが呟く。
「んじゃ、さっさと行くぞ」
「うん…」
俺はアノウの手を握りリビングに当たる場所に向かう。
「おはよう、相変わらず仲がいいわね。
それでノギ、昨日は手をだしていないでしょうね?
あと二日なのだから我慢しなさい」
「していないって。
アノウとは寝ただけだって」
「お義母さん、おはよう。
二人ともなんの話をしてるの?」
「「何でもないよアノウ(ちゃん)!」」
アノウは俺の家とアノウの家が無茶苦茶あまやかして育てて、下手な知識に触れさせなかったのでそういった下世話な話題を知らない。
母さんとお義母さん曰く成人の儀を終えた後にアノウが誰かと付き合ったりした時に教えてもらえればいいやだそうだ。
お義母さんは『そっちの方が純粋で守りたいでしょ?』と俺に言ってきた。
あの時、裏では娘を任せたと言っていた。
「とりあえず、朝飯はまだ?」
「ちょっと待ってなさい。
すぐに出すからあなた、早く朝ご飯を運んできて!」
母さんもは父さんを相変わらずアゴで使っている。
「おう、おはよう!
ノギ、アノウ」
父さんが料理を抱えて挨拶してくる。
「父さん、おはよう。
早くしてくれよ、今日は成人の儀の出発日なんだから」
「お義父さん、おはようございます。
急いでほしいですけど、気を付けてくださいね」
アノウが挨拶と社交辞令を言う。
「父さん感激だ!
アノウちゃん是非!
ウチの…うぐっ」
父さんは料理を置き、何か口走ろうとする。
しかし、それは言うことは無かった。
母さんの手によって止められたのだ。
母さんは極端にアノウとの結婚の話題を避ける。
変なことを口走って逃さないためなのか、それとも俺じゃ不安なのかわからない。
「えっと、大丈夫ですか?」
「アノウ、気にしなくていい。
自業自得だから、それよりご飯を食べよう」
俺がそう言うとアノウは俺の隣のイスに座り、俺と一緒に食べ始める。
そうして、時間が過ぎて出発の時間になる。
俺達は村の出口で立っていた。
アノウはすぐ近くで俺の顔を覗き込むようにしている。
少し離れたところには二人の少女がいる。
ラミナとレンナである。
二人は仲が良く、よく一緒にいる。
アノウと仲良くなりたいらしく何度か俺に尋ねてきた。
まぁ、俺には分からないから分からないと言ったけど最大限の協力はしている。
アノウには同年代の同性の友達が必要だ。
そして、少し離れたところに少年が一人いる。
この辺りでは珍しい黒髪黒眼である。
因みに俺は顔立ちは前世と変わらないが黒髪から茶髪になっている。
目も黒から茶色になっている。
要するにあまり変化なしだ。
その少年の名前はユウジだそうだ。
少しだけ日本を思い起こさせる名前だ。
まさか、転生者とかじゃないよな?
まぁ、否定できない分怖い。
転生者だったら厄介だ。
自分が何でも出来ると思ってる可能性が高い。
異世界モノの小説が流行ったのもあり、自分が物語の主人公のように錯覚した可能性が高い。
人生というのは簡単なものでは無いのにそう勘違いする人間が沢山いる。
俺は物語の主人公が嫌いだ。
なぜなら、つまらないからだ。
いつも勝ってばかりでつまらなくないのか?
そう俺は勝ち組だったから思うのだ。
まぁ、昔の話だ。
俺はため息を吐き、馬車が来るのを待つ。
少し経つと馬車が着き、俺達は馬車に乗る。
男女で分かれて馬車に乗る。
「いやー、同じ村でもあまり話す機会がありませんね」
「そうだな、機会はあまり無かったな」
「そういえば、ノギ君のステータスの理想はなんですか?」
「んー、俺は特に希望はないかな?
とりあえず、生きる術は身につけさせられたし…」
「そういえば、ノギ君は剣術、魔法と色々と教わっていましたね」
「そういうことだ。
んで、お前はどうなんだ?」
「僕ですか?
そうですね〜、勇者…とか」
「ハハハ、俺以外の人に言ったら蔑まれるぞ」
「ハハハ、僕もそう思います」
俺達二人はそうして馬車の中で話し合った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
トアラの町に着き、俺達は馬車を降りる。
そして、次の日の馬車の予約を忘れないでしておく。
「ノギ!
一緒に町を歩こう!」
アノウから誘われて断れる訳が無い。
別に次の日の朝まで自由時間だしいいか。
「わかった」
そう言って三人を見るとラミナとレンナから目配せが送られる。
どうやら、アノウと仲良くなるのを失敗したようだ。
誘導した俺が言うのも何だけど、アノウって俺以外へのガードが固すぎだ。
「ノギ、どこに行く?」
「それなら、丁度夕刻だし飯に行くか。
その後にでも買い物に行くか」
「分かったわ」
そう言って俺達二人は適当な店に入る。
数量限定のシャドウラビットの肉が食えるらしい。
因みにシャドウラビットなどの研究もしたことがある。
ーーーーーーーーーーーーーーー
シャドウラビットとは
ラビット系魔物の一種。
ラビット系にある特徴である好戦的な個体が少ないのと同じように基本的には非好戦的な魔物。
逃げ足が速く、中でもシャドウラビットは影に潜ることができるので非常に厄介な魔物として知られている。
そもそも魔物とは?
魔物とは、瘴気や魔力を大きく取り込んで体の中に核(通っている名称は魔石)を作った動物を指す。
故に人の魔物もいない訳では無い。
さらに、基本的な戦闘力などが通常の魔物より上がっており、全くの別個体に進化する可能性がある。
ーーーーーーーーーーーーーーー
と言った感じでもう既に調べ終えている。
概ねよくある小説の設定通りで拍子抜けしたほどだ。
後々、文献を調べてみると賢者と呼ばれる者が一万年前に解明したらしい。
「シャドウラビットの肉入りシチューとパンで」
俺はパッと店内を見た限りである美味しそうな料理を頼む。
「私はシャドウラビットの肉入りサンドイッチで」
アノウはメニューを少し見て一番気に入ったものを言う。
「あいよ、 ちょっと待ってな」
看板娘と言える少女はそれを聞いて厨房の方に呼びかける。
そうして待つこと数分で目的の料理が並べられる。
シチューは質素な食材ながらもしっかりと食材を生かしておりとても美味しかった。
アノウのサンドイッチの方も同じようでとても嬉しそうに食べていた。
「ありがとうございます。
美味しかったです」
そう言ってお代を支払って俺達は去って行った。
その後、俺は服屋など色々と行き大変だった。
前世の妹で慣れていたと言えでもやはり女の子の買い物に付き合うのは大変なものがある。
そうした時間を過ごして宿を取り、今日は過ごした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ふわぁ、ねみい」
そう言って俺達は出発の準備を整えて馬車の出発を待っていた。
今回も男女別れて乗るようにしている。
実はこれはラミナとレンナがアノウと仲良くできるように俺が頼んでいたことなんだが、昨日は失敗したようだが…。
俺達は男女で別れて自分の乗る馬車に向かう。
「おう、昨日の坊主か。
今日はもう一人入ることになっているがいいか?」
「別に大丈夫ですよ」
俺はそう言って馬車に乗り込む。
「いいのか?」
ユウジは俺に聞いてくる。
別に俺は他人が苦手という訳では無い。
俺は無言で頷く。
別に不機嫌とかそういうのでは無い。
ただ単純に眠いのだ。
昨日はいつもとは違うせいか寝付きが悪かった。
「えっと、こんにちは」
そうして、少し経ち出発のちょっと前に一人の少女が馬車に乗ってきた。
赤髪である頭には犬の耳がピンっと立っていた。
尻尾はフサフサで手入れなどは怠っていなさそうだ。
んー、どこかで見たような…。
とりあえず、挨拶だけでもしておこう。
「おはよう、俺はノギでこっちはユウジな。
町に着くまでの間よろしく」
「勝手に俺の自己紹介を…」
ユウジが何か言ってるが気にしない。
「ノギさん…そういえば昨日、うちの店に来ていた方ですか?」
「店って…」
「あの、数量限定でシャドウラビットの肉を食べられるお店です!」
「あー、なるほど」
そうか、あの時の子か。
よく覚えていたな。
「そういえば、この耳と尻尾は?」
ユウジが気になったのか聞いていた。
まぁ、気になるわな。
「やっぱり、気持ち悪いですよね…獣人と同じ馬車なんて…」
「あ、違うと思うぞ。
ただ単にうちの村には獣人という存在を見る機会が無かったから気になっただけだと思うぞ」
「そ、そうですか?」
ユウジと俺は彼女の問いかけに頷く。
そうすると、彼女はホッと安堵の息を吐く。
「そういえば、自己紹介がまだでした。
私はミフユと言います」
あれ、また日本人っぽい名前が…。
ちょっとカマかけてみるか。
「そうか、よろしくな。
それで、質問なんだがあそこの料理って誰が考えたんだ?」
俺の問いに少し首を傾げながらミフユは答える。
「お父さんが長年かけて考えたんだって」
その瞬間わかった。
彼女は今嘘をついた。
なぜ、この場面で嘘をつくのか…。
それは口止めされているまたは自分にとって不利益なことがある。
その二択しかない。
ならば、彼女はどちら側だ?
態度や素振りから考えると自分への不利益に思える。
とりあえず、転生者の可能性が高いことは確かだ。
注意しておこう。
俺が魔王である以上、後ろから刺される可能性も否定できない。
「頭いいんだな」
「そうなんだよ、お父さんはとても努力家なんだよ」
「それは凄いですね、僕も一度食べてみたいです」
まぁ、そんなこんなで話を続けているが、ミフユはもう少しガードを固くしておけ一応は男の前なのだから…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「よし、着いたな」
町に入り、俺は思いっきり伸びをして女子グループを待つ。
ミフユはどうせなら一緒にと言って、俺達と一緒に待っている。
「ノギ!」
ふと、気を引き締めた瞬間にはもう遅かった。
アノウが俺に向かって飛びついて来て、抱きつかれてしまったのだ。
余程俺と離れていたのが嫌だったのか普段よりスピードもパワーも桁違いだ。
「アノウ、出会ってすぐの抱きつきはやめなさい驚くから」
俺はそう言ってアノウを引き離して撫でる。
「えへへ」
少し嬉しそうに笑う。
全く反省をしてないな(撫でている時点で反省させる気が無いのに気づいていない)。
「待って!
アノウちゃん速いよ」
「待って…どこからそんな力が…」
アノウが来た方向からラミナとレンナが走ってくる。
どうやら二人はアノウの謎スペックには勝てなかったらしい。
「まぁ、とりあえず行くか…ん、どうしたアノウ」
「えっと、そこの獣人の女の子は誰かな?」
アノウはミフユを指差して言う。
まぁ、そこは当然の疑問だな。
「こいつはミフユって言ってな、同じ馬車に乗ることになってな、そこで仲良くなった感じだ」
「なるほどね」
意外と反応が薄いな…。
まぁ、楽になるに越したことはない。
「えっとミフユです。
よろしくおねがいします」
「私はアノウです」
「ラミナです」
「レンナです」
それぞれ挨拶をした後、俺達は成人の儀を受けるべく教会に向かった。
この世界の教会の立場だが、預言者、予言者のいずれかが関わっている。
預言者というのは人間より上位の存在の言葉を聞くことができ、予言者はこれから起きる未来を見ることができる。
故にこの世界の宗教というのは神は気まぐれで機嫌を取らねば敵になってしまうのだ。
まぁ、そうだな。
だって、魔王に転生させるくらいだもんな。
それでも、どの世界でも教会の白さと綺麗さは変わらない。
なぜどこの世界の教会も造りが変わらないのだろう。
そこはいいか…。
俺達は受付番号のようなものを貰い、俺達は呼ばれるまで話して待つ。
どうやらアノウは少しだがラミナとレンナに心を開いたようだ。
そして、俺達は呼ばれてそれぞれの部屋に入る。
その時にふと聞こえた言葉があった。
「どうやら、聖女が現れたらしいぞ」
その言葉に俺は耳を傾けるが有益な情報を得られそうにない。
そもそも、聖女というのはシステムの一つだ。
どうせ呼ばれてもあと二人ほど前にいるわけだし、簡単に纏めてしまおう。
ーーーーーーーーー
システムとは
システムとはとあるプログラムの一環で作られているものだ。
正式名称『世界戦構築型安定プログラム』
それは敢えて戦争を起こすことによる破滅の防止用プログラムである。
それは一歩間違えれば安定どころか崩壊に向かうプログラムである。
しかし、これの利点はより長期間から短期間に当たるプログラム実行が可能であること。
人材を間違えなければプログラムはほぼ確実に成功する。
システムには
魔王
勇者
魔導師
賢者
占術師
剣聖
パラディン
英雄
召喚師
獣魔師
魔王の右腕
魔王の左腕
巫女
聖女
などと他にも沢山ある。
一部のものを除いて一般人が持つ天職でもあるが、一番に違うのはシステムが働いているか、いないかである。
そして、その半分以上のシステムが転生者に渡される。
しかし、それ以外で転生した者もいるのでその場合は注意すること。
ーーーーーーーーー
まぁ、まとめるとこんな感じかな?
これらの知識は魔王のシステムの特権らしい。
そうして復習をしている間に俺の番になる。
俺は神父さんの前に出る。
「では、よろしいかな?」
その言葉に対して俺は頷く。
神父さんは一枚の紙を取り出してペンを持つ。
「『覚醒鑑定』」
神父さんがスキル名を唱えると同時にペンが物凄い速さで動く。
「終わりました、まずは確認してください」
そう言って俺に紙を渡す。
ーーーーーーーーー
ノギ=ティーフィナル
天職 勇者LV1
レベル1
スキル
完全適正LV5
闇魔法LV9
光魔法LV9
重力魔法LV10 進化可能
空間魔法LV10 進化可能
属性魔法LV8
龍魔法LV10 進化可能
竜魔法LV10 進化可能
回復魔法LV10 進化可能
再生魔法LV10 進化可能
核魔法LV?
結界魔法LV9
契約魔法LV5
召喚魔法LV8
具象化魔法LV10 進化可能
付与魔法LV6
剣術LV10 進化可能
体術LV10 進化可能
瞑想LV10 進化可能
称号
大魔導師
勇者
選ばれし者
ーーーーーーーーー
…俺は無言になった。
少しやりすぎたようだ。
そう思い俺は隠蔽を行う。
ーーーーーーーーー
ノギ=ティーフィナル
天職 勇者LV1
レベル1
スキル
完全適正LV5
称号
勇者
選ばれし者
ーーーーーーーーー
これでいいだろうと思い俺は笑う。
「それでは説明をするので少し見せていただいても?」
「はい」
そう言って俺は神父にステータスの書かれた紙を見せる。
瞬間、神父の目が見開かれる。
「なんと!」
先程までの冷静な態度から打って変わって大きな声を上げる。
「えっと、どうかしたのですか?」
俺が意地悪のために問おうとした時、バタンッと扉が開かれる。
「大変です!
勇者が現れました!
…ってどうしたのですか?」
俺の前に立つ神父よりも若い人が現れる。
どうやら、アノウの鑑定も無事終えたようだ。
瞬間、バタンッと再び扉が開く音がする。
「大変だ!
魔導師がウィザードの称号を持った魔導師が現れた!」
次は少し荒くれ風の男が叫んではいってくる。
それと同時にもう一人入ってくる。
「獣天が出たぞ!」
「「…」」
しかし、それと同時に沈黙が流れる。
「大神官様、どうかしたのですか?」
「…いや、そのな…目の前にいるこの少年も勇者なのだ…」
「へ?待ってください勇者は…」
「わかっておる、勇者は二人おるのだ!」
大神官と呼ばれる男はドヤ顔で叫んでいた。
そう、ドヤ顔で…。
なんで周りは賞賛してるのだろう?
「とりあえず、その勇者、魔導師、獣天を連れて参れ」
そうして、俺達は集められるのだった。
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