第3話 目覚めと魔法実験

俺は目覚める。

そこには両親と思わしき人物がいた。

俺はとりあえず泣いてやった。

赤ちゃんは産まれてすぐに泣かないと危険だから俺は泣く。


「立派な男の子ですよ」


すぐ近くの婆さんが話す。

実際、何言ってるか分からないがイントネーションと状況などから翻訳している。

細かい部分は違うが、概ねは合ってるはずだ。


「元気がいいことだ」


それを聞いて、俺の父?らしき男が笑いながら豪快に言う。

多分、こうだろう。

他にも色々と候補があるが、イントネーションなどから推測していく。

早く自分の名前を知りたい。


「お子さんのお名前はお決まりですかな?」


婆さんが尋ねている。

反応を見るからにこんな感じだろうが、実際にそうなのか分からない。


「ノギです。

ノギ=ティーフィナルがこの子の名前です」


「いい名前だ」


母親らしき女性が俺の名前らしき言葉を言う。

前世と同じ、ノギ。

それが俺の名前だと思う。

そして、性がティーフィナルだろう。

そこだけ、特定の文法を言う時と感情の込め方や言い方などを変えていた。

俺は泣く事に体力を使い果たし、ゆっくりと眠りに落ちる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


真夜中に俺は目を覚ます。

どうやら、時間感覚は前世と殆ど違わないようだ。

1日24時間では無くても大きさなどから考えたら30時間くらいだろう。

まぁ、詳しいことは調べて見ないと分からない。

とりあえずは、今持つ力の実験をしよう。

よくある、異世界転生ものでは赤ん坊のうちの魔力強化が有名だ。

それをこれから試すのだ。

考えた奴は普通に天才だと思う。

因みに俺の『不屈・努力』『超速魔力回復』はその為に入手しようとしたスキルだ。

直接的にはステータスが見えなくても、魔力などのエネルギーくらいは感じれるはずだり

現にスポーツ選手などは自分の限界をしっかりと把握している。

ならば、俺も把握できるだろう。

俺はゆっくりと魔力を探る。

しかし、思った以上に魔力が分からない。

俺は色々な考えを巡らせる。

魔力は生命力の説、血の説などを考える。

しかし、どれをとっても危険だ。

それにそれだと、失った生命力はどう取り戻すのか、血だと作ればいいという話になる。

なら、魔力とは何か?

それは外に取り込んだエネルギーなのでは無いか?と考えた。

どこかに魔力を貯める場所がある。

考えられるのは全身にいく血、他は肺、脳、神経そのものの可能性もある。

でも、普通調べることなんて出来ない。

でも、調べるだけなら簡単だ。

『無制限鑑定』が俺にはある。

まず空気中に魔力があるのか調べる。

見事にあった。

空気中を覆うようにあり、魔力は恐らく分子より小さいのかと思い大きさなどを鑑定する。


結論から言うと、原子より小さい。

色々な合間にあるのだ。

魔力濃度という概念がこの世界にはあるのか調べたところこれで8%だそうだ。

低くいと魔力回復がしにくいらしい。

ちなみに人体に鑑定を行い、魔力について分かっている。

一応、人体に魔力を作る機関がある。

更には魔力というのは血>脳>心臓>肺>その他の順に多い。

要するに主に血に魔力があるのだ。

それが分かるとあとは簡単だった。

それを確かめて、ゆっくりと魔力を練る。

そして、魔法にはイメージが重要らしい。

なら、後は簡単だ。

全てを受け付けて反射しないイメージをする。

暗闇である。

反射量が極端に少ない故にそこの部分が暗闇なる。

イメージした通りにそこには闇ができていた。

これで魔王の演出練習ができるな。


待てよ、これは…。


俺はより複雑な構造を考える。

しかし、それは途中で実行できなかった。

やはりダメだった。

しかし、これは一種の成功だ。

なぜなら、複雑な魔法程使用量が増えるということが分かったのだから。

実際、俺がやろうとしたのは重力操作である。

反射しないのでは無く、吸引または引力を作る事にしたのだが、魔力が足りないようだ。

しかし、これは武器になる。

空飛ぶものであれば落ちて、戦士なら崩れ落ちる。

これは練習が必要だな、勿論他の魔法の挑戦をしない訳では無い。

俺は魔力が回復したのを確認して再び実験に乗り出す。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


俺は3歳になる。

読み書きなどは1ヶ月で覚えた。

この付近は文字の読み書きの必要が無いのだが、他の場所と比べて裕福らしく、基本的な文字の読み書きは出来て当然らしい。

因みに日本語とそんなに変わらなかったおかげで理解するのに遅れた。

日本語そのものが珍しい形の所為で普通はそんな形にしないのだ。


まぁ、昔の話をしても仕方ない。

勇者について話さねばならない。

勇者はとなりに住んでる俺と同時期に生まれた女の子だったのだ。

まぁ、親同士仲が良いので幼馴染というやつになるのか?

まぁ、可愛いのでそんな細かいことは気にしない。

ちなみにここは村に当たる場所で、そこそこ裕福な村らしい。


殆どの人が元冒険者または農民スキル持ちである。

故に、税には困らないし食料だって狩りに行けばいくらでもある。

過酷な環境でも剣と弓と農業道具があれば生きていける。

そんな人達なのだ。

人情が熱く、助け合いを重視している節もあり、かなりいい村だ。

それ故、本を読む機会もあり、隠れて読んだおかげである程度の知識はもう既にある。

因みに、文字を教えられるのは六歳かららしい。

この歳で読み書きが出来たら確実におかしいのだ。

だから、俺は普通の3歳より3歳らしくしている。


「おかあちゃ、あれはなに?」


俺は少し気になるものがあったので母親に聞いてみる。

それは電灯である。

この世界には電気がない

要するに、灯りを付ける器具にも魔力がある事になる。

しかし、仕組みが全くわからないのだ。

しかし、母親は灯りを付ける道具としか教えてくれなかった。

丁度いい機会だし、鑑定を使ってみた。


ーーーーーーーーーー

電灯

魔力により、エネルギーを作り光を生み出している。

必要魔力量が多いが、周りの魔力を吸収する分で足りており、余程の事態が起きない限り切れることが無い。

ーーーーーーーーーー


これは驚いた。

光とは言っても

光源の想像は正直少し難しい、いや、単純に考えれば簡単なのだろうか?

しかし、これならある程度の快適生活が出来る。

俺は少し悩み始めた時だった。


「ノギ、アノウちゃんが来たよ」


母さんからの声が聞こえる。

アノウとは本名アノウ=ティルノミナ。

勇者だ。

俺は考えを中断してアノウの下に向かう。

アノウが来る時は大抵の場合、親同士の世間話などである。

故にアノウは手持ち無沙汰となり、暇をする。

いつも、その時に俺とアノウの接点が生まれる。


「アノウ、あそぼ」


しかし、この言葉は今だに話しにくい。

しっかりと話せるようになるのは一体いつになるのか…。

にしても、アノウは相変わらず可愛いな。

まるで天使みたいだ。

この銀の髪が翼みたいでそれはもう…。

俺は思わずうっとりしてしまう。

これは病気かな?

病気だな。

早く、大人になったアノウを見たい。


「うん」


と元気よく返事を返してくれた。

言葉はまるで天使の囁きのような…やばい危うく昇天しかけた。

俺は悪くない、可愛すぎるアノウがいけない。


「なにしてあそぶ?」


「うーん…」


そうして、俺はアノウと遊んだ。

なにやったかって?

お話か、おままごとくらいしか屋内じゃできないよ。


アノウが帰り、俺は親公認の魔力の実験を開始する。

俺はこの3年間遊んでいた訳ではない。

これより実験結果を公開しよう。


ーーーーーーーーーー

1.光≧空間≧重力

これは、光の魔法から行える魔法の実験により、空間魔法が使えることが判明。

その関係で拡張魔法と仮定。

その後、試行錯誤の後、質量または重力を失くすまたは軽減することが可能。

仮称として重力魔法、それにより拡張魔法の説が高くなる。


2.闇≧重力≧空間

これはまず、闇魔法から重力を増やすことが可能。

それを重力魔法と仮定する。

そこから空間縮小、要するに圧縮の成功、それにより圧縮魔法と仮定。


空間≦光≠闇≧重力

その後の実験により、お互いの利点から考えて、光は空間の方が扱いやすく、闇は重力を使いやすい。

しかし、お互いに共通点があるが、根本が違うため、光と闇は同一ではないと考える。

お互いの利点を利用した魔法を空間魔法または重力魔法と命名。


3.火≠光

同じく、光を発することができる同系統の魔法として火魔法の考察を行なった。

結果は火の明るさは熱とエネルギー量にあり、そこから光を抽出したものとその他を足したものを光魔法とした。


4.闇≠火

闇と光は相反している。

全く別物としても光という概念がある以上、火魔法も相反しているかの実験を行う。

結果は相反してすらいないだった。

あくまで圧縮魔法である、闇と火の概念は違った。

火はあくまで活性魔法と仮定した。


5.水≠氷

次に氷と水の魔法について実験した。

これは液体と個体の違いだけに思えたのだが、明確に違いがあった。

それは物質の活性を失くすのと、液体を生成して操るの違いだった。

水魔法はあくまで水を生み出して使う魔法だが、氷魔法は正確には周りの物質の活性を失くして氷を作ることにある。

冷やす魔法である。

それにより、氷魔法と水魔法の違いがはっきりした。

それにより氷魔法と火魔法は相反していると言える。


6.土≠氷

土魔法と氷魔法の違いについて考察した。

氷魔法は冷やすことで違いがあるが、対比を作ることによりより違いが分かると思い、今回の対比に出した。

土魔法は水魔法と似ていて、個体を操る魔法と言える。

そう言った面では似ているが、水魔法とは違い、生成が難しい。

さらに言うなら、個体の強化も含まれており、骨の硬化に使われることが多い。

他にも貴金属を見つける際に重宝する魔法である。

理由を追求したところすぐに判明した。

大地を動かすのではなく、大地の把握にも使えるのだ。

この辺に洞窟のある場所などが分かった。

歩いている生物なども把握できるらしい。


7.雷≠風 雷≠火 雷≠氷

風は土と水と同系統の魔法である。

雷はその名の通り、電気を生み出すことができる魔法である。

雷の操作などはできるが、よく風と雷は同じものと扱われている。

さらに、雷は氷がぶつかった時に発生した電気、または火のプラズマ化などがある。

これは孤立しているようで、電子の生成と支配だった。


8.毒などの生成は可能か

これは思った以上に早くできた。

魔法抵抗力が高い人間には無理だが、簡単な魔力の一時的な毒素化が出来た。

それにより、睡眠魔法、催眠魔法、毒魔法、麻痺魔法、混乱魔法、火傷魔法、衰弱魔法などなどの完成させた。


ーーーーーーーーーー


一応、ここまでが今までの実験結果である。

今は龍または竜魔法と回復または再生魔法、無属性魔法の実験を重ねている。


これに関しては他の魔法と比べて複雑で難しい。

龍または竜魔法は破壊と衝撃だということが分かった。

回復または再生魔法は促進または回帰という点だ細かく追求すればこれだけじゃ終わらない。

無属性に関してだが、既存の強化が主だが、それ以外にも沢山ある。

無属性に関してはびっくり箱みたいだった。

具象化に召喚、契約など他にも色々とあるのだ。

事実上一番扱いづらい魔法だ。


そういえば、破壊魔法である竜魔法と衝撃魔法である龍魔法を上手く使えば核と同形質の力に指向性を持たせた魔法ができるのでは?

俺はそう思い、魔法の準備を始める。

山の方に行き、誰にも迷惑がかからなくて、人里離れた場所に行く。

空間魔法の光よりで空間拡張を行う。

無属性の具象化魔法で作り上げた障壁を闇魔法で圧縮さらに二重構造にして回帰魔法の再生魔法を付与。


実験開始の手始めとして闇魔法で空間圧縮を行う。

空気を集めて一箇所にまとめる。

そして、破壊魔法を使うと同時に衝撃魔法でしっかりと指向性を持たせて、原子の核分裂を起こす。

その瞬間、俺は見誤った。

放射線の放出を防ぐようにはしている。

しかし、俺が見誤ったのはそんなことではない。

何故、核兵器が地球では禁止されたのか…。

それは放射線だけでは無く、直接的な破壊力にもあったことを…。

直後、とんでもない音が響く。

俺は音に驚いて、目を閉じる。

そして、目を開けた時には山1つ吹っ飛んでいた。

もし、空間拡張をしていなかったらと身震いする。

幸いなことにこの山は人里からは見えない。

空間拡張と闇魔法の振動吸収により、音は村に届いていない。

もし、万全な安全対策抜きでやったなら後で問い詰められる。

俺は初めて魔法を使った時のことを思い出して肩を竦める。


「しかし、これはしっぱいだな」



俺は改めて被害を見て思う。

なぜなら、魔法を使った右腕が丸々消失していたからだ。

少しのミスで体ごと無くなっていた可能性がある。

怖いものだと思うと同時に右腕だけなら安いものだと思う。

『超速再生』により、腕が修復される。


「これは、かいりょうがひつようだな」


俺はそう言って帰路に着く。


数ヶ月後、山が消失したことにより、町から冒険者が派遣されたのは言うまでもない。


そして十年後、この世界の成人の儀が行われる。

その時、産まれて初めて自分のステータスを見る瞬間になるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る