第6話

番外編

皐月 瑞桜

東京に出て暮らし始めてからもう私も随分と経った。

「私もそろそろ結婚しないとな……。」

26歳。

自分の中での25歳という結婚目標年齢を通り越して一年が経つ。

交際は4人ほどとしたが、あまり人間性を好きになれなかったり、やむを得ない事情で別れたりを繰り返し、そろそろ恋愛というものにも冷めてきてしまっていた。

恋愛。

その一言に私はどれだけ意味が含まれているのだろうと思う。

好き、独占欲、性欲、寂しさ、切なさ……

好きだからって上手くいく訳ではない。

昔から近づかれ過ぎると逃げたくなってしまう性質が災いして、恋愛はなかなか上手くいかない。

優しいと言ってくれる人はいるが、私はあまり言われるのが好きではない。

甘いと優しいは違うんだろう。


そういえば、学生時代とても勉強に秀ででいた友人がいた。

尊敬はしていたが、ただ私は人間的にあまり好きにはなれなかった。

ただひとつ、彼のことを疑ってしまうのは、あの日の噂のこと。



彼は今、何をしているのだろうか。

きっと君のことだから、立派な人になっているんだろう。



明日は、赤いセーターを着ていこうか。

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