第2話

「……日渡君?」

休日の午後、家の近くを歩いていると、背後から声をかけられた。

「……はい?」

振り向くと背後には驚いた様子の同じ年くらいの女性がいた。

「日渡君だよね!やっぱり!私、皐月 瑞桜(さつき みずさ)。覚えてる?中学校の時一緒だったよ。」

皐月 瑞桜

中学時代、隣の席でよく話していたクラスメイトだ。

しかし、顔に面影こそ残るものの、特別着飾っていないのに彼女はひどく綺麗になったように思えた。

「あぁ。皐月。ひさしぶり。」

思わず目を逸らしてしまう。

自分にとって彼女はただのクラスメイトではなかったのだ。

自分は、彼女をずっと想っていた。





もうそろそろ昼食の時間だということで、立ち話は叶わなかったが、彼女も今この東京でカフェ店員として働いているという。

久々に会っても彼女は変わらない人だ。

あの優しさが伝わってくる人柄。

お人好しで優しすぎる性格はずっと変わっていないのだろう。

自分は彼女のそんなところが好きだった。


また会えるだろうか。

ガチガチに硬い世界でこれまで生活していた自分に、少し癒しが施された気がした。


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