第3話 先端恐怖症

部屋のスクリーンが目を開けられないほどの光を発し、ここに来た時のように意識を失った。




『君が私のペアということか...』



そう聞こえると同時に目が覚めた



『少年。君はなぜ私を召喚した』



普段あまり聞くことのない単語に慣れず、思わず彼の顔を見た。



『少年。なぜそんなに驚いている』


『え...嘘だろ。君は』


『何だ?』



誰でも驚くはずだ、むしろまだ信じきれてない。


なぜなら目の前にいる彼は





俺の大好きな小説『幻影修羅』の主人公なのだから。




『顔もそっくりでイケメンだ!服装もしっかり作られてる!剣までそっくりだ!』



興奮している。



『少年。そっくりとはどういう意味だ?』

『それは大人気小説『幻影修羅』の主人公フィン・テセウスに似てるってことだよ!』

『さっきから少年は何を言っている。小説とやらは知らぬが私こそがその

「フィン・テセウス」なのだが』






フィンはそう言いながら剣を抜きレイジに先端を向けた


『もう一度問うぞ少年よ。君がこの世界に私を呼んだのだな?』

『えっ!えっとー.......はい?』


身体中に冷や汗をかきながらフード野郎の言葉を思い出した


< 君にナンバーズタッグを与える。ナンバーズタッグとは君の一番好きなもの、憧れているもの、感情を形にしたものなどをパートナーとして実体化させたものだ 〉


少年は思い出しその場で勢いをつけ立った。

俺の一番好きなもの....



するとスボンに重みを感じポケットに手を入れた




『こ、こ、これ見てください!!』


ポケットには幻影修羅の小説が入っていたのだ。


『....!これは私ではないか!しかもその絵はシロルド村ではないか。貴様何者だ』


フィンは剣の先をまたレイジに向けた



『ご、誤解です!!この本は日本で大人気でアニメ化もされて、2020年男主人公アニメランキングでも1位だったんですよ!』


『貴様何を言っている。』

『何って!!あああぁぁぁーーーもう!

こっちだって混乱してるんですよ!!いきなりケータイの中に吸い込まれて気づけば白い部屋に自分が居て、フード野郎に実験対象やら異能力やら言われて!さらに追加コンボで大好きなキャラが目の前で僕に剣を向けてるんですよぉ?!』


マシンガンのような速さでフィンの肩を揺らしながら喋っていた。

『貴様..!!やめろやめろ。わかったから揺らすな..』

『絶対わかってないですよ!また剣を向けるんでしょう!あああぁぁぁーー死にたくないよーー』

『少年!逃げるなっ。ちょっと待て!』




レイジは短距離走世界記録保持者に輝くレベルで速い走りを見せ街の中を掛けて行った。




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