第13話〜夢の続き〜
球体に乗って連れて行かれた(と言うより運ばれた)のは王座の間だった。
「やあ、ようこそ、サクラ・フルール姫、ヒンメル・アンジェロ姫!」
あの人は、そう言って出迎えてくれたけど、私は敵意丸出し、そらさんは完全に怯えきった状態だった。
「ここから出して下さい。」
「もう少し待ってくれたらね。」
私がそう言っても機嫌がいいらしく、そう言われる。でも、この球体の中では弓は出せない。
「サクラさん・・・。」
そらさんがそう言って私を見た。怖いよね。私も怖い。でも、彼女は巻き込まれた側の人間だもん。こんな事になって申し訳ない。
「ごめんね。本当はこんな事にならないようにって色々考えてたんだけど、上手くいかなくて・・・。」
「いえ、そんな!それより、ワタルくんたちが心配で・・・。」
「・・・うん。それは、私も心配。」
そらさん、自分も危険な状況なのに、優しいな。
それに、私も心配。あの夢と同じ状況になったら・・・。
「あの、サクラさんも、大丈夫ですか?」
「え?」
「顔色が悪いので・・・。」
そういえば、入る時も同じ事言われたな。周りの人に気を使えるんだ。そんなところは、昔と同じなんだね。
「うん、ありがとう。優しいね。」
「いえ、そんな事ないです!!その、怖くて、他の事を考えようとしてて・・・。」
「そうだよね・・・。でも―」
大丈夫。そう言おうとした時、扉が開いた。
「サクラ、お待たせ。」
「連れてきましたよ!」
そう言ってベルゼブルとディーアブルが入って来る。そして、その脇に、フウくんたち全員が抱えられてた。
「ワタルくん!!!」
「みんな!!!」
みんな、その場で落とされる。
うそ、うそだよ。そんな、夢とおんなじ事になるなんて、そんな・・・。
「お帰り二人とも。さあ、二人とも、出してあげるよ。」
そう言ってあの人は球体を動かして、私たちを丁度みんなの真ん中辺りに私たちを降ろした。
「フウくん、アスカちゃん、カエデ!」
みんな、息はしていたけど、ひどい怪我だった。
「ワタルくん!」
隣でそんな声が聞こえる。見るとそらさんが回復結界を出してた。ワタルさんの方が怪我は浅いし、あれなら間にあう。
でも、フウくんたちの怪我は間に合わないくらい傷が深い。どうしよう・・・。
『サクラ・・・。』
そんな時、声が聞こえる。どこから聞こえるか分からない。でも、それはたしかに御先祖様の、サクラさんの声だった。
「サクラ、」
それのすぐ後にベルゼブルのが私を呼ぶ。きっと、あの夢と同じ事を言う。
『使って。』
そして、サクラさんの声。使うって、何をですか?
「そんなやつに構ってないでこっち来いよ。」
ベルゼブルにそう言われる。そっちには、行きたくない。
『私が使えなかった、サクラの魔法。』
「いや、です。」
私がそう言うと、「そう。」とだけ言ってこっちに来る。しかも、後の二人も。
その時、思いだしたんだ。昔、御先祖様が、私が殺される直前。使おうとした魔法。使えなくて、私が命を落とす原因になった魔法。
殺される。分かっているのに、私の足は動かない。
「そう、君は自分の運命を受け入れるんだ。」
そう言ってベルゼブルが剣を振りかぶる。
そして―
そして私はその時、やっと使えたんだ。あの魔法。『サクラの魔法』が。
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