第12話〜本拠地での戦い〜

 扉を開けると、精鋭部隊の人たち、アスカさんたち、サクラさんたち、私たちの順に入って行く。でも、誰もいない。

「誰もいないね・・・。」

「きっと、王座の間とかにいるんだよ。あんだけ偉そうにしてたしね。」

「うん、それはそうなんだけど・・・。」

 そんな話をしているうちに、どんどん進んでく。なんだか、嫌な予感がする。

「・・・っ!サクラ!!」

 そう思っていると、フウさんがサクラさんを引き寄せて、背中に隠した。

「きゃあ!!」

 その直後に壁が壊れて、中から女の人が出て来た。あの人たしか・・・。

「アスカ、カエデ!」

「分かってる!!」

 そう言ってアスカさんたちが飛び出す。

「あら、あの時と同じ?なら、同じ結末になるかしら?」

「させないわよ!」

 女の人の煽りに、アスカさんたちが返事をしながら応戦する。すごい、戦闘が、早い。

「今のうちに先に進むよ!」

「は、はい!!」

 フウさんにそう言われ、私たちは走り出した。

「この先の王座の間にあの方々がいらっしゃるわ!そこまでは、邪魔しないであげる。」

 女の人がそう言うのが聞こえた。邪魔しないって事は、この先は何もないのかな?

「あいつの話、鵜呑みにしちゃいけない気がする。」

「え?」

 ボソッとワタルくんに言われて驚く。なんで?

「分かんないけど、嫌な予感がするんだ。そらも、気を付けた方がいい。」

「うん、分かった。」

 それも、そうだよね。気を付けよう。

 そう思っていると、サクラさんたちが目に写った。

「サクラ、大丈夫?」

「うん。ありがとう。」

 そう言いながら、絶対に二人は手を放さない。というより、フウさんが手を引いてるみたい。

「フウくんこそ、さっきので怪我してない?」

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」

「ふふ、お互い様だよ。」

 すごい、こんな時でもお互いを気遣えるんだ。私はそんな余裕ないから羨ましいな・・・。

「そら?」

「あ、ううん、なんでもない!!」

 考えてると、ワタルくんに声をかけられた。考え事してる場合じゃないよね。

「・・・っ、待った。」

 そう言ってフウさんが私たちを制した。すぐにワタルくんが臨戦態勢になる。

「・・・、誰だ!!」

 フウさんは、そう言いながら周りを見る。サクラさんは、フウさんのそばで弓を出してた。

「バレたか!」

 そう言って男の人が出て来る。でも、あの人じゃなくて、サクラさんたちが戦う人。そして、男の人はサクラめがけて来る。

「させるか!!」

 フウさんがそう言ってサクラさんの前に出てそれを剣で受ける。

 でも、それは一瞬で、すぐに壁に飛ばされてしまった。

「フウくん!!」

 それが終わっても男の人は止まらない。そのままサクラさんを攻撃しようとする。

「はっ!!」

 ワタルくんがフウさんに代わってサクラさんを守る。でも、またすぐ壁に飛ばされてしまう。

「ワタルくん!!」

 そのまま二人は動かない。

「なんで、こんな・・・。」

 私がそう呟くと、男の人はまたサクラさんを狙う。なんで、こんなにサクラさんに執着するんだろう?

「そっか、あなたは、フウくんの一部だから・・・。」

 サクラさんがそう呟いた。どういう意味だろう?

「サクラ、全部思い出したんだって?なら、俺と行こうよ。」

「嫌です。」

 サクラさんはきっぱりそう言う。強いな。私は、あんな風に出来るかな?

「そう、なら、力尽くで・・・。」

 そう言って男の人が手を前に出す。その前に、黒いもやがかかっていく。

「・・・っ!」

 サクラさんが急いで矢を射った時には遅かった。私たちは、別々の黒い球体の中に閉じ込められた。

「このまま、君たちはあの方のもとへ行くんだよ。すぐ行くから待っててね。」

 そう言う声が聞こえる。いや、怖い。

「フウくん!」

 サクラさんがそう叫ぶのが聞こえる。やっと起き上がったフウさんが目を見開いていた。

「サクラ!」

 まるで、この後最悪な事が起きるみたいな顔を二人ともしてた。

「そら!!」

 呼ばれた気がしてその方を見ると、ワタルくんが私を見てる。

「ワタルくん。」

 いつも近くにいるのに、今はすごく遠い。手を伸ばせばいつも届くのに、今は壁に阻まれる。

「すぐ行くから!!」

 力強くそう言われて、私は頷いた。

 球体が前に動き出す。その間私たちは、お互いに大切な人を見つめていた。

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