第6話~平穏の終わり~

 そして、そんな日々は突然崩れ去った。

「…ら…そら…そら!」

 夜中、誰かに呼ばれて目を覚ますと、ワタルくんと私に背を向けて剣を構えるバドさんがいた。

「ど、どうしたの!?何があったの!?」

「落ち着いて、とりあえずここから逃げないと…。」

「おい!来るぞ!」

 バドさんがそう叫ぶ。その声に入り口の方を見ると、お父様が来るのが見えた。

「…うそ!」

 悪い夢だと思った。いや、思いたかった。なんで第五艦にお父様がいるの?

「おい、ワタル!ここはなんとかするからそらと一緒に逃げろ!」

「分かった!・・・そら、立てる?」

 そう聞かれたけど、反応出来なかった。そんな私を見て立てないと判断したワタルくんは、私を抱き上げて走り出した。バドさんが思いっきりお父様を吹っ飛ばして道を作ってくれる。その間をワタルくんが全力で駆け抜ける。私は怖くてワタルくんにしがみつく事しか出来なかった。

 でも、それが一番いけなかった。

「待ちなさい!」

 その声に続く銃声。そして、ワタルくんが倒れた。

「…くっ!」

「…っ、ワタルくん!」

 腕から抜けて抱きかかえるとワタルくんはグッタリしていた。返事はなく、呼吸も荒く小さかった。

「ワタル!」

 いつの間にかバドさんが私達をかばって前に立っていた。でも、お父様たちはすぐそばまで来てて怖かった。私はワタルくんをかばうように抱きかかえるしかできなかった。

『そら、こっちを、見て。』

 その時、声がした。後ろから優しく私を呼ぶ声。振り返るとそこにはきれいな女の人が立っていた。どこか私に似ているその目を見た時、なぜか私はその人を知っている気がした。

「…あなた、は?」

 そう聞いても返事はない。代わりにその人は手を出して何か言った。足元に魔法陣が現れ、私の意識は次第に遠のき…。

 

 気が付いたら広いベッドの上にいた。

「…ここ、どこ?」

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