4-16 最終章7
傘から放たれたおびただしい量の王水が装置を包み込むと、みるみるその輝きを奪い去り表面を腐食させる。それに伴って、何やら凄い魔方陣(周期表)を展開している私はどんどん魔法力を消費する。ケミカルカートリッジシステムは使用者の負担がないはずなのに・・・。
「うぅぅうぅううあぁぁぁああああ!!」
私の気合いに応じて王水はその輝きを増し、プラチナを腐食させていく。
そして剥き出しとなった動力部にある元素の鍵を掴み取り、私は叫んだ。
「ケットシー!!認証ォーーッ!!」
少し離れたところで、カーバンクルと対峙するケットシーの漆黒の瞳が輝き、
「元素の鍵、を確認。
認証登録、マジカルマヂカ。」
登録が完了するとすぐさま私は鍵を引き抜いた。そして、装置の機能が全て停止する。
「はぁはぁ・・・・止まった?」
ドレスを泥だらけにし、顔じゅうを埃まみれにし、息を荒げたままの私はすべての力を出し尽くし、周囲、そして装置の状態を確認する。
完全停止していた。
手には第3族、そしてもう一本、おそらくワイズマンが仕留めたというローレライの持っていた元素の鍵がある。
「いやぁ、素晴らしい。やっぱり人間は素晴らしい。
キミたちなら、いつか本当の真理にたどり着くかもしれないね。
その一端が見られただけで、ボクは満足だ。
だからコレを言わせて貰おう。」
「・・・?」
「ありがとう。」
「・・・。」
こいつ・・・。
間違っているのは私じゃない。この空気の読めないウサギのほうだ。
今、理科世界を含めた全ての生物がこいつから聞きたいのは、感謝じゃなくて、謝罪だ。
私は何か一言、言い返してやろうと思ったのだけど、気の利いた言葉が見つからなかったのでやめた。もうヘトヘトだし。
私のそんな気も知らず、カーバンクルは自分の思うがままにベラベラと言いたいことを喋り、
「救世主マジカルマヂカ、よく聞いて。
人類は未だ見ぬ真理と問題をいくつも抱えているけれど、叡智の結晶アカシックレコードには全ての世界を救う方法が記されているんだ。
キミたち、人間という名の科学者はそこに至り、きっと世界を導き、救ってくれる。ボクはそう信じているよ。
それじゃあ、また、いつか。」
そう締めくくる。
ワイズマンとの契約が消え去り、装置からの補給線も途絶え、チカラを使い果たしたカーバンクルは淡い光に包まれ、理科世界へと消えていった。
「最後まで意味不明。」
・・・・。
洞窟の空間には静寂が戻り、明かりもぼんやりとしか無い。今そこにいるのは私とケットシーだけ。
「マヂカ。」
「何?」
「お疲れ。」
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