終章
終息の場所
―――――
魔法少女なんて肩書き、最初はどうでも良いと思ってた。人生の一幕に魔法少女の項目なんて不要なのだから。
だけど、魔法に触れるたび、化学を理解するたび、真理の一端を垣間見るたび、私の中の魔法少女としての存在は大きくなり、全世界の運命を背負い込むのもまぁ『それもアリかな。』という気持ちになっていた。
だから、今更、目の前の問題を投げ出したりはしない。化学のチカラが世界を救うってことを証明してみせよう。
フェンリルとの戦いを繰り広げた商店街の裏山の中腹に、玄武岩で覆われた洞窟がある。
戦国時代、小さな出城があったこの山で、兵糧庫として利用されたものだが、街の観光課によれば、入り口が小さいことと岩盤の安全性に関して、地質学的に確認が取れていないことから未だ内部調査もされず、立ち入り禁止になっている場所だ。
街の上空を飛び回り、最終的にハルピュイアはここに行き着いた。
あの件は街じゅうの人間に目撃されて大騒ぎになってしまった。超常現象特番の格好の的だろう。
「あ、そうか!」
「何?」
「この山、ユニコーンを仕留めた場所だ。」
肩の上のケットシーがそう言う。
「・・・。」
なるほど、これはいよいよ“当たり”かもしれない。
暴走した召喚獣はチカラを求めて彷徨う。
ユニコーン、フェンリル、ハルピュイア、もしかすると私やあの子(マジカルマイン)も、無意識的にこの場所に惹かれていた。
この先の“チカラ”に。
私の推測はそんなところ。
そして、この洞窟に足を踏み入れたのだ。――――
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