心震える同族嫌悪

・「自分は意識高い」と自負する心と「あいつは意識高い(笑)」と軽蔑する心が同居している。やっていることは変わらないはずなのに、自分は特別扱いか。


・縄張り意識が強い。自分の領分である「ミステリアス、クール、インテリ、観察者(自称)」とキャラが被る輩とは徹底交戦する(もちろん自分の心の中で)。


・普通を嫌うが、あくまで対外的には「普通」を装う。お前の好きなポジションは「一見普通だが実は……」的な存在ゆえ、どんなに変、変と言われようとも「そうかなあ」と白々しくも演じる。無論、内心はご満悦だ。

 

・だからこそだろうな、言われたくない言葉の一つに「思ったより普通だね」がある。

 トリックスターを望むお前は、普通とか平均という概念を嫌う。


・子供が一時的に「自分は特別」だと思い込むのは、特段不思議でもない。知識も世界もまだ発展途上だからな。

 だが、良い歳した大人がそう思い込むのは……つまるところ、「人生の損失」ってやつを取り返したいからだ。


・人間ってのは追い詰められると、一発逆転ってやつを狙うようになる。

 今までの失敗を全て払拭し、更に有り余る程の成功を。株にせよ、パチンコにせよ、人生にせよ、全てに当てはまることだが……世間じゃそれを「魔が差す」って呼ぶんだぜ。


・そもそもお前、それだけ見下している「普通」の人生がどんなものか、考えたことすらないだろ。

 お前がPCの前でぼーっとしている間、仲間達でパーティを開き、飲み会に出て、海外旅行をして、夏にはダイビング、冬にはスキー。

 これら全てが……意固地になりさえしなけりゃ、手に入っていたモンだったんだよ。


・リア充だからだって?所詮見た目やコネだろって?

 馬鹿言うな。リアルを充実させるのに必要なのは「自分でやってやろう」という思い、それだけだ。

 自分で人を誘い、パーティを準備し、旅行を予約し、お金を貯めて、計画を立てる。

 行事をするには、コストがいるし、リスクがあるんだ。それでも……デメリットを上回る楽しみを求めて、人は率先して動くんだ。


・お前が特別に憧れ、普通をけなすのは「特別さ」が何もかも解決してくれると、そう思いたいからだ。

 IQ、才能、独自性……誰にも真似できないコトをすれば、今までの空虚な時間にも価値が出てくる、そう思いたいんだ。

 だが、もう気付いてしまってる。もはや自分に……そんなレアな力はないんだと。世界に選ばれた者でも、何でもないことを。


・お前の抱く他者嫌悪の正体は、一般人への憧れなんだよ。自分は普通だと悟っているが、それを認めたら人生の損失を取り返せない。だから、普通をけなす。特別であろうとする。

 お前が同族を嫌悪するのは、そんな行為の無意味さと恥ずかしさを良くわかっているから。

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