身のない大物なんて、ただの害悪


・本気を出さないことを、余裕綽々の態度を、美徳だと思っているようなら教えてやる。

 そういう態度を取って良いのは、きちんと成果を残し、信頼を勝ち取った人だけなんだよ。

 

・お前の中で六割程度の力しか出していなくとも、周りから見れば知ったことじゃない。

 負けは、負けだ。「本気じゃなかったから」なんて言い訳、通じるわけないよな?

 そして負けを反省出来ないやつが勝てるわけもない。


・それにしてもお前はさ「本気」「必死」「全力」といった言葉を徹底的に嫌うよな。相手をけなす時も「必死だな」とか「本気になるなよ」とか。

 まるで、手を抜いているだけのお前が、さも底知れない奴みたいに見えるように。


・懸命に努力している人が眩しいんだろ?妬ましいんだろ?

 そういうことを訊くと「ハイハイ、よく分かりまちたね~」とか「お前の中ではそうなんだろう」とか、図星にも程がある反応が返ってくるが、お前がするべきは、その逃避する癖を治すことだな。


・能ある鷹は爪を隠すだったか?

 あの言葉も罪作りだよなあ。能無しどもが爪も研がずにのさばる理由になっちまった。

 そういうやつらに限って、「有能」「無能」だのと、上から目線で人を評価するんだぜ?


・その「有能」「無能」の拠り所すらも、周りの人物が基準なんだから、どうしようもない。

 誰かが「敵」だと言ったから、今日からこいつは敵だ、なんてことを平然とのたまうんだぜ。

……よく分からんなあ。お前の方をわざわざ向く「敵」さんなんて、いる訳ないのにさ。


・自分を上げるより、他を落とす方が早い。

 その理屈に従って、お前は実に不毛で無駄な思考を編み出すに至った。

 敏腕社長には「コネ」「買収」、モデルには「腹黒」「ビッチ」、声優には「オワコン」「ごり押し」……

 そうやって、自分より優れた人物を、ちょっとでも噂が立てば、辛辣にけなす。

 良いところなど、最初から見るつもりすらない。


・他人のあら探しは楽しいか?

 他人の堕落がそんなに恋しいのか?

 自分で自分のこと「痛快な批評家」だとか思っちゃってないか?

 まあ、そんな自惚れたやつでもなけりゃ、こんな自虐に見せかけた暴言小説、作ろうとなんかしないよな?


・自虐ってパワーワードだよな。

「ナンセンス」「駄文」と同じで、自虐という形式なら「あるある」という形で、どんな罵倒をも可能になるんだから。

 自虐が出来るってことは、自分に何が足りないか知っているんだ。分かってながら、今まで直そうともしなかったのは、一体何故なんだろうな?

 簡単だ、そんなことすれば、自分の「負け」を認めることになるからだ。  


・勝ち目のない争いはしない、だから無敗だ。

 ははは、賢いやり方だな、どこかの軍師でも参考にしたか?

 そんな華々しい戦績に水を差すようで悪いが……それ、世間じゃ不戦敗って言うんだぜ?


・いつも気難しい顔をしている。何かに急かされてるかのように、宿命を背負ったキャラみたいに。

 だが、実際に話をしてみれば、中身のあることは全く語らない。機密主義か何かは知らないが……

 お前、誰と戦ってるんだ?

……いいや、誰と戦ってるつもりなんだ?


 お前、今、何をしているんだ? 

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