第9話準決勝直前
「轟 優香…7傑か…響華なかなか勝つのは難しそうだな。」
「羽矢人私も7傑。だから平気。あと…羽矢人…」
「ん?」
「ううんなんでもない。」
そう言って響華は前を向いた。だが彼女には疲労の色がわかりやすく見えた。それもそのはずで、ここまでほとんど僕が弱いせいで響華は1人で戦い続けたからだ。だが次の相手は7傑。僕が戦わなければ…
「響華、大丈夫か?」
「大丈夫。羽矢人の方こそ平気?」
「俺は平気だよ。響華が平気ならそれで大丈夫だよ。じゃあ行こうか。」
こうして僕らは準決勝の相手7傑の轟 裕香がいる第2体育館へと向かった。
「羽矢人は7傑の時の記憶戻ってないの?」
と響華は僕に第2体育館へと向かう渡り廊下で聞いてきた。
「んーまだかなぁ…それよりも僕からも聞いていいか?」
正直僕が7傑である記憶がある以前に僕は7傑とは比べ物にならないくらい弱くて、記憶云々よりもただ周りがからかっているのではないかとも思えてしまう。この話を合わせるのも大変で困っている。
「何羽矢人?」
「響華はさ、強いよな。僕なんかと組んだせいで迷惑かけてごめんね。」
「そんなことない!羽矢人は私を救ってくれたヒーロだし、それよりも羽矢人はこの世界で一番強いよ!私も勝てなかった…あの頃の羽矢人には。足元にも及ばなかったよ…」
響華は珍しく必至になって言った。その姿に僕は少なからず驚いた。こんなに必至な響華は初めて見たし、その姿を見たせいか余計に次の試合で僕が頑張らないととプレッシャーにもなった。こうして話しているうちにいよいよ第2体育館のドアまで来た。
「いよいよだな。」
「羽矢人行くよ。」
そう言って響華は第2体育館へと入っていった。
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