担当編集の1日は、バカの作家と始まる

とけい

田中さんは、今日も疲れる…

俺の名前は、田中 宗司。

ちょっと、いやだいぶ変わった仕事をやっている。

まず、石田か…

「おい。いーしーだぁー」

俺の担当編集が俺様が神から授かった手で書いてやった原稿を握りしめ俺の名を読んだ。

「なんだ?」

「『なんだ?』だと、この俺の持っている原稿を見てもまだそんなことを言うのか…」

「…あぁ、みなまで言うな……感謝の言葉だろ!」

ブチっ、っという効果音が聞こえてきそうなほど担当編集は、マジギレだった。

その証拠に今、奴の額から、血が…

「ぁぁ、そうか…えっと、感謝の言葉以外…いがい…」

俺は、相当悩んだ…

そして、

「あぁ、そうか、そうか!それならそうと言ってくれればいいのにな…」

「ようやく分かったか…」

「俺のサインが欲しいんだろう♡」

ばちーーーーーーーーーーーん

うっは、うっは…

ドタン。

効果音の波が俺の耳の中で永遠と流れている。

「おまっ、今、俺様をなぐ…」

「あぁ、殴ったよ。だがな、今のはお前がわるい!」

おまえが悪い、おまえがわる…

んっ、

「なんでだ?」

「よぉし、はぁ食いしばれ!」

「すまんすまん、いえ、ごめんなさい、ごめんなさい。許してくれ」

はぁー

担当編集が、ため息をつくと

ゆっくりと、持っていた原稿を机に置いた。

「…じゃあ聞くがこの作品、、おまえはどう思う?」

「どうって…そりゃぁ完璧だろ」

「はぁあああ。そうか…じゃあようく聞けよこの作品は、、『没』だ」

そうか、そうか、、って!

「おい、おい、オカシィデェスネ。ボクの聞き間違いですかねぇー。今、ぼ、ぼ…ぼ、ぼつってきこえましぃいたぇ」

「おまえ、ところどころ日本語、おかしいぞ。大丈夫か?」

「あぁ、おんらは、大丈夫だべ。べ、べつに、おらは、、何も…ど、動揺…なんて…し、、してる!」

「そうだろうな。って言ってやりたいところだが全ておまえのせいだろぉが!」

はっ?

「はっ?っじゃねぇよ!おまえの原稿のあらすじ言ってみろ!」

「えっと、、確か…主人公…の、、誰だっけ?」

「ゆきひろだ!主人公の名前ぐらいおぼえろ!」

「そうそう、ゆきひろ、、が自分の妹の麗奈を監禁して…」

「おい、おい、話が全然ちげぇだろうが!もっと真面目に話せ!」

「あれっ、違った?おっかしいなぁ、じゃあ、ゆき…ひろ?そいつが…」

おい、主人公にいま『?』ついてたぞ。

「妹の麗羅を…」

麗羅を…

「監禁…」

「さっきと変わらねぇじゃねぇがぁー!」

「すまん!」

「もういい、俺が言う」


「じゃあ…、最初からそうしろよ…」

ボソッ。

「あぁ、今なんつった?(怒)」

怒りマークが、みえる…

「いっ、いえ!なんでもありません!」

「じゃあ、あらすじを言うぞ。まず、主人公のゆきひろが、魔王ダークネスにさらわれた妹のサーラを助ける為に国の秘宝の魔剣を手に入れて城にのりこむ」

「これの何が悪い?」

っと石田がくちを挟んで来た。

「あぁ、今のところは大丈夫だ。このまま、続いていたら俺も何も言わなかった。この次からが、没の原因だ

よ、、そして中間のボスと出会ったが中間のボスは、すでに誰かに倒されたあとだった…」

『どうしたことだ?なぜ、ボスが倒れている?』

ガサッ。

『だっ、誰だ!』

『お、お前は、、魔王!』

そこに居たのは、魔王ダークネスだった。

だが、まえに会ったときとは、うってかわったように静かだった。

『どうした!かかってこないのか!』

『ゆ、ゆうしゃ、、うっ、、うゎー』

突然、魔王ダークネスは、悲鳴をあげはじめた。

そして、一言

『…トイレ』っと、だけ、、

 

「って、なんで…こんないいシーンで魔王腹壊してんだよ!?」

「いやぁー、そこは俺様のめちゃくちゃ頑張ったシーンだぞ」

「…こんな、クソみたいなシーンをどこが、がんばってんだ!?」

「俺様の作品をクソとはなんだ、くそとは!」

「クソみたいな原稿に、クソといって何がわるい」

そこから、数秒間の沈黙がながた。

「とにかくこの原稿は、書き直せ!いいな?」

「だが、、」

「い・い・な?」

「あぁ」

その後無事に『俺の勇者説』は、出版された。

売れ行きは、もちろんよかった

 

「なんで、あんな作品が人気なんだろうな…」

「俺様の作品だからな!」

今日の仕事も、、しんどかったな…

まぁ、楽しかったが…

「それより、俺のプリン知らないか?」

「あぁ、あれか、なかなかうまかったぞ」

ニヤリっと俺は笑ってやった。

「おまっ、俺様のたいせつな、、プリンを…よくも」

膝をついて大の大人が本気でショックを受けていた。

今日も、へいわだなー

 

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担当編集の1日は、バカの作家と始まる とけい @aikachapy0821

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