ショタくんと理想の結婚相手 3
(でも、無理ないか。まさかこんなかわいい顔で、ここまで男前な発言が出てくるとは思わなかったし……)
今年初めて一緒のクラスになった佐藤は、田月の性格に驚いたと同時に尊敬した。……さっきからシャルルが田月の足を蹴っていることは気にしないことにする。「こんにゃろぼくよりモテやがって」と呪いの様に呟いているが、聴こえなかったことにする。
ただ、冷静になった佐藤には一つの懸念があった。
(この様子を見ると、田月に対するクラスメイトの女子の人気が上がるんじゃないのか? となったら、二宮さんはどうなる……?)
よくB組に遊びに来る二宮のことが心配になった佐藤は、思い切って田月に聞いた(周りには聞こえないように)。
「なあ。田月と二宮さんて、付き合ってるのか?」
「なんだ突然」
「いや、もし付き合っているなら、この状況が二宮さんにどう影響を与えるかが……」
「ああ、そういうことか。付き合ってねえよ」
照れもなく、それでいて淀みなく答える田月。その様子に嘘の色は見えないが、佐藤は腑に落ちなかった。
本人は気づいていないかもしれないが、普段の田月と、二宮と一緒にいる田月の表情は随分違う。二宮と一緒にいる時は、表情が柔らかい上、ずいぶんと大人びた目で、愛おしむように彼女を見ているのだ。……と言ったのは、佐藤の彼女である。
(二宮さんも明らかに田月のことが好きだと思うけどな。二人とも色恋沙汰には鈍感っぽいし、自覚なしの両片思いってところかな)
そう納得した佐藤は、「そうか」とパンをかじった。
それ以上は聞かないことにしたのだが。
「だって返事、保留されてるし」
佐藤のかじったパンが、ポロっと落ちた。
シャルルの箸の先から、ごはんがポロっと落ちた。
「「……え?」」
「ん?」
二人が動揺する中、田月は平然とおにぎりを頬張っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます