第3話 輪廻~りんね~
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「私を・・・殺して」
「へあ?」
僕は、彼女を、少し好きになっていたのかもしれない。
何か、悪い夢でも見ているのか?
こんなに楽しかったのに、なぜいきなり希望を失ったようなことを
言って・・・
「あの、ひょっとして僕、何か気にさわることでも・・・」
「そうじゃないよ。・・・ちょっと、わったーを試そうと思って」
「試す・・・なんだよそれ。」
そう言って、彼女はアウターのポケットから、バタフライナイフを取り出した。
「!!」
それを・・・えのほうを持って、僕に手渡した。
「これで・・・私の左胸を、
僕は絶句したままだ。
「わったーが私を刺したら、それで私たちの仲が成立するんだよ」
「な、何を言い出すんだ・・・たとえ、これで君の欲求が満たされたとしても、
僕は犯罪者になってしまうんだぞ!?」
「・・・だいじょうぶ。私は、殺されたって生き返るよ。ある人が、
生き返らせてくれるんだ。」
「ある人って・・・誰の入れ
「さあ、刺して。それとも、私のこと嫌いなの?」
僕の質問には答えず、ほたるは言葉をつむぎだした。
「き・・・嫌いじゃないよ。でも、生き返るから殺してって、誰が信じ
られるの!?これって・・・ひょっとして、僕を最初から
ほたるは、顔をゆがめる。
「僕を犯罪者に仕立てて、面白がるために、僕に告白したり・・・
一緒にゲーセンで遊んだり・・・そんなの、おかしいでしょ?
それとも、学校とアイドルの両立によるストレスでも溜まってた?
それで、今日を最後の日にしようとしたの?
そんなんで、僕を選んだって言うのなら・・・納得いかないよ!」
ほたるの頬に、涙がつたる。
「そんなに死にたいなら・・・ひとりで死んで」
僕は、トドメの一言を告げる。その直後の彼女の一言が・・・
「・・・そう。わかった。じゃあこれで、ゲームオーバーだね」
え・・・・
「私、あなたを好きになったけど、あなたは私を好きになれなかった。
不適合者だよ。じゃ、いってくる」
その時・・・僕ら以外、だれもいないはずの河原の
長く
―――ザク。
―――ブシャアーーーーーー
暗闇の中で
僕の目の前では、川栄ほたるが腹から
腹から血を流している姿があった。
そのぐったりとしている姿は、息絶えているようにもみえる。
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!」
仮にも、僕の好きな人が死んだ。
ほたるを
「なんてことするんだ・・・彼女とお前はなんの関係もないはずだ!
彼女は僕に殺してくれ、と頼んだんだ。なぜお前が殺した!」
前進布切れで覆われ、フードをかぶっている男。顔はよく見えない。
その男が、静かに口を動かしはじめた。
「・・・お前が悪いんだよ」
!―――なんだと?僕がわるい?
「どういうことだ・・・・!?」
「お前が彼女の欲求にこたえてやらなかったから、俺が契約上、彼女のライフを
リセットしてやったんだ。彼女は、”ゼツボウの適合者”を
「―――!」
男が言った言葉に、僕はふと思い出す。
そうか・・・あの魔法使いの言っていた言葉。
(キボウは・・・生きる望みを持って生きていく人間なの。
それを、世に多く広めてほしい。それと相対的なものが、ゼツボウの適合者。 いってみれば、自殺志望者のようなもの。世の中に不満を抱いた人間を増やして はならないの・・・)
僕も、それを
なんてバカだったんだ。僕は、キボウの適合者として、彼女の欲求を
満たすことで、彼女を救うことが出来たんだ・・・・
僕は、男の
「・・・ほたるをかえせ」
「言われなくも生き返す・・・彼女は記憶を消され、また自分の苦悩を背負って
苦痛な人生を歩み始め、別の異性を好きになる」
・・・それが相対するゼツボウというものか。
僕は続けて男に問いかける。
「お前はどうして彼女を幸せにしてやれない?」
「俺はきっかけをつくり、おのずと答えを導かせるだけだ。文句でもあったか?」
と、男は
「そう怒るな。お前もリセットしてやろうか?もう一度失敗を
やり直すことができるんだぞ」
「はあ?」
男は、ほたるを刺した薙刀を今度は僕に向けてきた。危ないじゃないか、やめろ。
「・・・いってこい。お前は今からゼツボウの適合者だ。」
僕が恐怖におののいているのも聞かず、男は薙刀を僕に振り下ろす。
―――その時、フードの下の顔が、少しだけ見えた。
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