10 うっかり萌兵衛

萌神「雄常、お前はドジっ娘萌えを知っているか?」


雄常「ほう」


萌神「ドジっ娘萌えとはその名の通り、ドジな女の子に萌えるものなのだ。愛しく思うものなのだ」


萌神「人間というものは中々に不思議な生きものでな、完璧なものよりもちょっとした欠点がある方が好みとなることが多い。例えばミロのビーナス然り、サモトラケのニケ然り」


雄常「そうだな」


萌神「……まぁ、あれだろう。欠点があることでその人間やものを身近に感じることが出来るからだろう。欠点とは人間らしさの象徴とさえ言っていいしな」


萌神「ドジっ娘とはそれを如実に現している。短所があることで、失敗を曝け出すことで自分と同じ身近な存在、等身大としての存在を感じさせているのだ」


雄常「ほうほう、そうかそうか」


雄常「じゃあ先ほど俺に対して、頭から茶ひっくり返してくれたのはドジっ子萌えを演じるためだったんだな」


萌神「も、もちろんだとも! 私がそれ以外でそんなことをするはずがないだろう!」


雄常「ほうほう、そうかそうか」


萌神「………」


雄常「………」


萌神「………」


雄常「………」


萌神「………」


雄常「………何か言うことは?」


萌神「正直すまんかった」

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