第5話 エピローグ
かくして、隣国への王女の輿入れの日。
騎上の王女のすぐ側につき従ったのは、金の公子と白百合の旗を背負うグロリア。 国境で王女が隣国に預けられると、旗は降ろされることとなる。
「その旗……お前にあげるわ、グロリア」
最後にそう笑って、王女は嫁いで行った。
「おおおじょざばあああああ!!」
「もう泣くのはおよしよ……ほら」
帰り道。あまりにグロリアが泣くので、騎馬では危険だろうと公子に馬車に乗せられた。どうしても涙を止められないグロリアの顔に絹のハンカチを押し当てて公子は涙を止める手伝いをしてくれる。
「王女殿下はお強い方だ。隣国でもきっとすぐにのし上がっていつの間にか旗印になってらっしゃるだろうよ。その矛先がこっちに向かってこないことを祈ろう」
「王女様はそんなごどはぼすあそヴぃchsぢお」
「冗談だよ。分かってるから、ほら泣き止んで」
それから十年の時は流れて。
隣合う二つの国に、同じ名を持つ騎士団が出来ていた。白百合の旗を掲げ、女性だけが所属している。 片や王妃自らが率い、片や公爵夫人が率いていた。
一年おきの合同演習の日を、互いに心待ちにして日々精進し続けているという。
『終』
旗守りのグロリア 霧島まるは @kirishima_maruha
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