第4話
「四百四病の外」
二葉を寝かし付けて一息ついていた時、携帯電話が鳴った。
ウトウトしていた為、少しビクッと身体を揺らし携帯電話に手を伸ばした。
「こんな時間に誰だよ…」
少し不機嫌になりつつも画面を確認すると、頭が真っ白になった。
数秒が経ち冷静に色々考え始めた。
なんで今更?てか何の用?
色々考えても埒が明かない。
いっそのこと電話に出て本人に聞いてしまおう。
そうは思ったものの中々受話器ボタンを押せない。
ヘタレな自分に涙が出そうになったがたぶんその正体は先程我慢した欠伸だ。
そんな事よりどうする?出る?
そんな葛藤をしていると電話が切れてしまった。
焦った僕は突発的に掛け直してしまった。
数コールなった後に声が聞こえた。
「もしもし」
聞き覚えのある三月の声だ。
「も、もしもし!どうしたの急にっ!?」
パニックで変なテンションになる。
「今大丈夫?忙しかった?」
余程重要な用件なのか、冷静に返答する三月とは裏腹に動揺を隠せない一人。
「カズくんごめんね…なんの連絡もなく急に居なくなっちゃって…」
一年前の謝罪をされた事に驚いたが、それよりもこの1年何をしていたのかが気になった。
「もう過去の事はいいよ、それよりも今までどこで何してたんだ?もう大丈夫なのか?」
色々言いたい事もあったがまだ好きな気持ちは冷めてないのだろう、怒りよりも相手の事を心配した。
「うん…そのことでちょっと…」
三月が話し始めたタイミングで二葉が泣き出した。
「え!?どういう事!?子供いるの!?」
子供の声に驚く三月
まだ二葉の事を話してないことに気付き焦る一人
「これには事情があって!また明日説明するから会って話せるかな!?」
サラっと会う約束を作る一人に動揺した三月も
「わ、わかった!明日朝そっち行くから!」
とサラっとオッケーしてしまう。
とりあえず電話の終わった一人は二葉を泣き止ませることにした。
「珍しいな、お前が夜泣きするなんて。」
3分ほど抱っこしているとウトウトした二葉と一緒に眠りについた。
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朝、インターホンの音で目が覚める。
二葉はまだ寝ているので起こさないように玄関まで向かう。
扉を開けると、そこには三月が立っていた。
「お、おはよう…」
「お、おう…おはよう…」
久しぶりの再会なのか、それとも二葉の事で混乱しているからかぎこちない2人。
「とりあえず中入ろっか」
部屋に戻ると二葉がちょうど目を覚ましていた。
普段人見知りのしない二葉だが三月の顔を見るなり泣き出した。
「昨日の夜からどうしたんだよ、珍しいなー。」
二葉を抱き上げ宥める一人
何かを訴えるように泣く二葉
二葉見つめ少し驚く三月
この時、最悪と思われた出会いが思わぬ方向に進む事をまだ誰も知らなかった。
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