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 加速状態だけに許される引き伸ばされた時間の中で、世之介は手早く二人の賽博格に、状況を説明する。

「微小機械の暴走は、風祭のせいだ! 風祭の際限ない強さへの欲望が、微小機械の暴走に火を点けた!」

 助三郎は叫んだ。

「そうか! 風祭を倒さなければ微小機械の暴走は止まらない、という理屈か!」

 格乃進は疑問を投げかける。

「しかし、どうやって倒す? あいつは賽博格の身体に、世之介さんの〝伝説のガクラン〟の能力も加えているぞ。俺たちだけで、何とかできるのか?」

 世之介は自分の姿を立体映像で投射し、二人の動きに追随させつつ、答えた。

「俺は今、微小機械と直に交信できる状態になっている。だから、風祭の身体を覆っている微小機械に、俺の意識を同調させてみる! うまくいったら、あんたらが風祭を攻撃してくれ!」

 助三郎は仰天したような表情になった。

「そんなことして、大丈夫なのか?」

 世之介は、かぶりを振った。

「判らない……。しかし、他に方法はないんだ!」

 助三郎と格乃進は粛然とした表情になった。格乃進が強く頷き、口を開いた。

「よし、やってくれ! 俺たちは、いつでも攻撃できるよう、待機しているぞ!」

 二人に頷き返し、世之介は二体の巨大な怪物に意識を集中させた。

 巨大化した代償か、風祭は賽博格の加速能力を失っているようだった。

 一方、勝又勝の乗り込む【バンチョウ・ロボ】は、風祭の打撃を受け止め、校舎に叩きつけられ、今ようやく起き上がろうとしている。風祭は肘を引き、腰を落とし、第二の攻撃に移ろうとしている最中だった。

 世之介の視線が、風祭の巨体に向けられた。意識を投射し、風祭の巨体を形作る微小機械の群れに同調させる。

 世之介は意識同調サイコ・ダイブを敢行した!

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