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食事が終わり、支払いはどうするのだろうと思っていると、茜はまるで頓着せず、堂々と外へ出て行こうとした。
「あの、茜さん。支払いは? もしかして、ツケですか?」
意外なことを聞く、といった表情で茜は世之介の顔を見詰めた。
「支払いって何?」
茜は大真面目で尋ねている。世之介はイッパチと顔を見合わせた。
「そのう、お金のことですよ。こんなに飲み食いしてタダとは思えませんが」
茜は首を捻っていた。世之介の言葉が、一言も理解できていないらしい。
「お金? 支払い? だって、この食堂は、うちのものなのよ。そんなの、したこと一度もないわ!」
世之介は驚いた。
「そ、それじゃ、あなたがたの乗り物は? 着る物は、どうなんです? それに、住むところの家賃は?」
茜はゆっくり首を振った。
「知らない。欲しい物があれば取りにいくし、新しい二輪車が欲しければ、言えばくれるもん! お金って、何のこと?」
「うーむ……」
唸り声に振り向くと、光右衛門が眉を寄せ、難しい顔つきになっている。
「もし茜さんの言うことが本当なら、これは由々しき事態ですな! この星では、まともな経済活動が行われていない、ということになります。総てが無料だとすると、その代償は、はて、何なのでしょうか?」
光右衛門は、じっと茜を見詰めていた。
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