ep.8 割と生ビールは最高です
どうもお久しぶりです。私は魔王様の右腕を務めるライトハンドオーマ、魔王様に勝手に略されてミギウデです。正直ミギウデという略称は魔王様のセンスを疑います。いくら間違いに間違いの塗り重ねをする人間どもを破滅させるというセンスしか感じないようなお考えをお持ちの偉大なる魔王様でも、自分の右腕となる者にミギウデと渾名をつけるのはどうかと思います。
「あの〜、ライトハンドブヒっ!オーマさま〜?」
「うむ、どうしたのだデビルワイト」
この信用のおけないような他人を嘲る顔をした豚はデビルワイト、私の部下の1人であり、魔王城の財政担当の貯金豚である。
「ブヒっ!この前の謎の大洪水に電気点検時の謎の凍結による大事故、ドラゴンの飼育費用に偉大なる魔王様のブヒっ!偉大なる出費。そしてさらに
デビルワイトはその特徴的な豚鼻をヒクヒクさせながらミギウデに物申した。
「むむ、それは深刻な問題だな。まあ死神様のメールは無視するとして出費関係の問題は突き詰めないといけないな」
ミギウデの紅き瞳が発光し、組んだ腕に力が入る。表情はまさに鬼のようだ。
「-というか全て閣下が原因ではないか-」
-ゴゴゴゴゴゴゴゴ-
巨大な魔王城がミギウデの怒りによって揺らぐ。
「ライトハンドオーマ様!ここはブヒっ!冷静に!怒りは禁物ですぞ!ブヒっ!魔力に影響します!!」
デビルワイトはオロオロとした。
後方で控えていた猛烈魔獣幹部たちはそろそろと気づかれぬように部屋を出ていった。
「というか!いつになったら!魔王くんは戻って来るんですかあああああアア!!!?」
魔王城の瞬間最高激震率の揺れはその嘆きを最後に幕を閉じた。
とある異空間の居酒屋。
「はああ、まったくやんなっちゃうよ。雇い主が俺の
全身黒ずくめの男と言うとどっかの名探偵が出てきかねないので簡潔に言う。黒い死神は謎のおじさんが切り盛りする異空間出張居酒屋「ナンジャコリャ」にてネギまと生ビールを啜っている。
「ぷっはあああ、やっぱ生ビールは最っ高だね!てか死神が生ビール飲むってサイコーに面白くね!!?」
-異空間をガフの部屋が如き静寂が包む-
死神は割とすべる。
「なあ、聞いてくれよご主人」
死神はその骸骨のような顔を赤らめている。いや、死神のくせビール一杯で酔っている。
「俺が前いた世界を離れた理由はよお、あっちの死神の奴らなんもわかってねえからなんだ!普通巨乳の女の命をいきなり前触れなく終わらせるかよ?ありえねえだろ!巨乳だぞ、巨乳。まだ巨乳だった女が婆さんになって紐みてえな乳になって命を終わらせるなら話は別だけどよお。普通セッ○スしたての巨乳女をチェーンソー持ってスケボーマスク被った大男に殺させっか?裸で海泳ぐ巨乳女をいきなりでっかい鮫に喰わすか?いきなり宇宙人に人体実験させっか?亡霊に呪い殺させっか?ありえねえんだよ!普通巨乳は最後まで残すだろ!」
居酒屋のおじさんは死神の言葉をとりあえず聞き流し、生きたヘビのような不思議な形をしたグラスを黙って拭き続けている。
「ヘビに丸呑みにさせるっつうのも頭イカれてやがるなあっちの死神達はよ、でもこっちの死神達は巨乳に対してちゃんと接してるから俺はこっちにやってきたんだぜ。しかしよお、魔王ってなんだよ。いくら新人だからってあんな調子乗って偉くなったような奴になんで俺の
死神はしばらく、いや人間の時間単位では測れないほど沢山喋った。
「-もうそろあのお延滞魔王さんとこにぃ顔ー出してぇーやぁるぞおおお」
もはや死神はふらふらの泥酔状態である。
「待ってろおぁお、魔王おおおお」
死神は時折よろけてつまづきながらも異空間出張居酒屋「ナンジャコリャ」を後にした。
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