第2話 最も平和な機械化実現の方法
昼休みに衝撃のニュースが飛び込んできた。そのニュースの内容は「株式会社パーフェクト・ボディ社等、人体機械化規制法の廃案活動に関して26兆円の投資を発表」というもの。
パーフェクト・ボディ社というのは人手作業を代替する自動化装置・システムやオリジナルロボットの開発及び研究を起こっている会社と説明されている。その会社は人体機械化と密接な関りがある。というのも、そのパーフェクト・ボディ社は皮膚の機械化において世界トップの技術を有しており、その会社の作る人工皮膚を使えば、皮膚の強度が従来の100倍、機動性が従来の3倍にまではね上がる。人体機械化の規制が無くなれば、皆はパーフェクト・ボディ社の人工皮膚技術を使うことになり、その会社の多大な収益増加が見込まれると予想されている。
今まで26兆円も使って、規制廃止を進める動きはなかっただろう。つまりは勝負に出たということだ。記事の見出しに名前がのっているのはパーフェクトボディ社だけだが、規制廃止で得をするであろう、ロボット・人工知能・発電システムの開発を担う会社が協力して実現した活動であることが本文に書いてある。この活動は、複数の企業、そこに所属する大勢の人間の協力の下で行われるということだ。また、資金提供者の中に、ネット通販を主とするWebサービス会社ガレージの名前がある。時価総額ランキング1位、最も企業価値の高い会社が後ろについている。つまりは、この機械化を薦める動きは相当大きなものになるということ。
規制反対派が動いた。これは世界が変わるか?
記事の最後には、パーフェクトボディ社CEOのゲーリー・ハフ氏の記者会見での発言の一部が引用されていた。「我々は来る人体機械化社会に向けて、万全の準備が整いました。もし、人体機械化の規制法案が取り下げられれば、わが社は全世界の人々への無償の人体機械化手術を行うことを約束します。一部の人のみが機械化するという不公平な社会は許されてはなりません。皆が平等に人体機械化の特需を受けれる社会でなければならないのです。そのために必要なものの準備ができ、時が満ちたことを確信したため、我々はこの活動を行うことを決めました。皆さんの応援が必要なことでもあります。一緒に人体機械化の実現した素晴らしい世界の実現をめざしましょう」
全世界の人々に向けたの無償の機械化手術の提供。そんな金と労力がかかることを、彼らは本気でやるつもりなのか? しかし、今まで30年間機械化推進派の勢力が目立った動きをしてもこなかったのもこれで合点がいく。この準備をしていたというわけだ。全世界の人々が同時に機械化するという非常に平和な解決法のための準備を。
チャイムが鳴る。昼休み終了、5時限目開始の合図だ。席について教科書を机から取り出す。
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