第185話 奇妙な行動
兄が百合丘クリニックの十文字さんに相談して精神病院に入院する事になった。
この事件の後、精神病院に入院する前に僕は奇妙な行動を起こしていた。オープン前のストリップ劇場に、五人ほど並んでいる男たちに一万円を見せ僕のチケットを買う様にお願いした。
おつりは取っておいてくれと言ったが、誰も引き受けてくれない。僕は地べたに石で一万円札を挟み、頼みますと言うとその場を後にした。
その後、雀荘に行きすぐに打てるか聞いたがメンバーがいなくて打てないという。
僕は完全に壊れていた。
僕は迷惑料だと言い三千円を渡して表に出た。それから南町のソープ街に行き、精神障害者の手帳を見せ値引きする様に交渉した。違う店を紹介され、そこでも駄目だと言われお店をたらい回しされていた。
僕は値引きを諦め、お店に入ると案内された女性に意味不明な事を話し続けていた。
するとそのお店の女将さんらしき女性が現れ交代した。それでも僕は構わず話し続けた。
二時間は話していただろう。
そこへフロントの男が現れた。男が僕を掴むと引きずり出そうとした瞬間、階段の上で僕は倒れ込んだ。
意識はあるが身体が動かない。男がロビーまで僕を引きずって行くと困った様子だ。三十分くらい放置された。
すると僕の姉が現れ救急車が到着した。どうやって姉と連絡を取ったのだろう。
僕を乗せた救急車が走り出すと起き上がり「大丈夫です」と答えた。僕はソープランドで何を話していたのだろう。いや、何も話さないで黙っていた可能性もある。
財布を見ると五万円抜かれていた。
持ち物を調べ僕の姉に連絡したのだろう。病院に兄が来ていた。僕は病院に着いてからも他の患者さんに意味不明な事を喋っていた。
兄がこの時の会話を携帯に録音したらしい。
「昇の意味不明な話を聞くか?」と兄が言うが僕は断った。
僕は「心配かけてすいません。もう大丈夫です」と言い一人で病院から帰った。
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