第174話 初海外

 神谷会長が亡くなり日給研は気の合う者が集まり活動していた。


 僕は兄に誘われ上海に勉強をしに行く事になった。この時、僕はまだ飛行機に乗った事が無く初の海外だ。パスポートを作り準備した。


 二泊三日の、この勉強会は忘れられない。


 現地の日本企業が経営しているスーパーにお弁当の視察に行った。値段は日本とそんなに変わらない。これなら勝負出来るとメンバーの社長が言った。夕食で有名な中華のお店に入ったがあまり美味しく無い。参加者はガッカリしていた。


 夜の社交場が凄かった。


 これは神谷会長が日給研のメンバーに教えたのだろう。二十人くらいの若い女性から一人を選びお持ち帰りするのだ。みんな慣れたものだった。僕は兄に聞きながら女性に交渉した。


 カラオケが始まりみんな楽しそうだ。終わりが近づくと一人、また一人と女の子を連れ店から出て行く。


 僕が指名した女の子は、何故か帰ってしまった。意味が分からないのでタクシーに乗り一人でホテルに帰った。


 翌日の早朝、地下鉄に乗り上海の街を散策した。中国では朝食に小籠包を食べるらしい。 


こういう時の僕は怖いモノ知らずだ。


 小籠包専門の店がある。店に入るとまだ朝の六時なのに目の前で作っている。言葉が通じないので身振りで小籠包を注文した。できたてはとても美味しい。僕はおかわりして二皿たいらげた。


 兄は僕を探していた。「お前の女はどうした?」と聞くので「帰ってしまったので一人で過ごした」と答えた。


 僕が一人で地下鉄に乗り、小籠包を食べた事を話すと驚いていた。


 兄はすぐに新しい女の子を僕の為に呼んだ。今日子と名乗る二十代前半の子だ。胸が大きく、おとなしいが可愛い子だ。


 日給研のメンバーは、それぞれ昨日の女の子を連れていた。中国人なのに何故日本名だと思ったが、僕は今日子を連れて歩いた。


 この日はほとんど観光で過ごした。設立して二千年以上経つという町に行った時、それを見た僕は感動した。地震や戦争が無くそのまま町全体が無傷のまま残っていた。


 この町で昼食を食べたが残念ながら美味しく無く残してしまった。観光地で有名な所へ案内されたがどれも歴史を感じられてとても良かった。夕食は日本にもお店を出している所で食べた。 


 今夜は朝まで今日子が相手をしてくれると思うと緊張した。


 夜になるとカラオケになりメンバーは昨日の女の子を隣に座らせ楽しんでいた。僕の隣には今日子が座っていた。


 カラオケが終わると、昨日と同じように一人ずつ席を立ち店から出た。僕も店を出て今日子を連れてホテルに戻った。


 僕は久しぶりに女を抱きその肌を楽しんだ。


 神谷会長はいろいろな国で夜も相当遊んだらしい。


 男のロマンを感じた。男は体を張り仕事をしているのだ。豪勇色を好むと言うではないか。これくらい構わないと僕は思った。 


ただしお金が有ればの話だ。


 最終日、僕は今日子と別れを惜しんでいた。

 

一夜妻とはこのことをさすのだろうか?二度と今日子に会う事は無かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る