第150話 精神病なら…
僕の心はズタズタだった。
恭子の「精神病なら付き合わなかった」のメールが目に焼き付いて離れなかった。
このワンルームで僕は毎日自殺を試みていた。
自殺の完全マニュアルという本を読み、首吊り自殺は膝をついていても出来ると知った。葬儀用の黒いネクタイを使い、マニュアル通りドアノブに吊るして首をかけた。
とても苦しくて痛い。自殺ってこんなに痛いのかと思った。
僕のいるワンルームマンションは、日の出屋から近いのでよく兄が休みに来ていた。千代子と姉と僕の面倒を会社の運営しながら見ていたのだ。とても僕には真似出来ない。
僕は日の出屋で軽い仕事をさせてもらっていた。
僕は気を取り直し、お見合いの会に活動再開の要請をした。
ところが「龍神様は現在活動停止処分になっています。活動再開には病院の完治しましたと言う診断書が必要です。お相手の女性が、なぜ精神病者が活動しているのかと訴訟を起こしています」と答えた。
僕は、分かりましたと答えるのがやっとだった。
精神病に完治は無く、死ぬまでこの病気と闘わなければいけないのだ。だいたいあんなに仲良くやっていたのに訴訟って何だよ。
この怒りをどこにぶつければ良いのか?途方に暮れるしか無かった。
僕は精神的にテンパっていた。精神病院の入院は時間の浪費でしかなく、精神病患者に囲まれ限られた時間が削られていく。
僕は四十歳を過ぎていた。
それでも女性を諦めきれない。インターネットで真面目にお付き合いできるところを探し活動を再開した。
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