第121話 麻布店

 太陽グループの神谷会長直々に東京麻布の店を買う様に兄が声をかけられた。この店は食中毒を出し四千食から千食まで落ちていた。


 事務所の内田さんを中心に配送の男が五人いた。日の出屋で弁当を作り麻布の店は配送センターとして使った。


 兄はこの店を「お弁当の小鳥」と名づけた。


 僕は小鳥のメンバーに挨拶に行った。内田さんは太陽グループに来る様に誘われたが断ったそうだ。


 食中毒を出した時、テレビ局に付きまとわれて大変だったと言った。


 日の出屋で営業として動けるのは僕しかいない。


 東京には知名度の高い「魚屋」がある。元々魚屋で、お弁当を売り始めテレビにも特集を組み出ていた。蒲田に工場が有り五万食製造の会社だ。


 小鳥の経営は、赤字ギリギリでいかに営業して増食出来るかがポイントだ。配達も若い男が多くやる気はあるようだ。


 しかし、日の出屋も人手不足で抜き打ちで僕も配達に出ている状況だ。小鳥にまで手が届かない。


 内田さんに現状維持で頑張ってもらうしかなかった。


 麻布に支店があると言えば聞こえが良いが経営は厳しかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る