第53話 古いバスケットシューズ

 月刊バスケットボールという専門雑誌がある。


 読者投稿コーナーに載っている詩が好きで、中学生の頃から毎号欠かさず見ていた。


この雑誌に僕の苦しみと悩みを手紙に書き、中学三年の時に作った詩を添えて投稿した。


古いバスケットシューズと題した詩だ。



  つらい時、苦しい時

  古いバスケットシューズが君に語りかけるだろう

  一人ぼっちじゃ無いんだと

  支えてくれる友がいるんだと

 

  死にたい時、悲しい時

  古いバスケットシューズが君に語りかけるだろう

  夢中で走り続けた日の事を

  あの時過ごした日々に偽りは無いんだと

 

  いつまでも、いつまでも

  古いバスケットシューズは

  君に語り続けるだろう

  君があの時の笑顔を取り戻すまで・・・



この手紙と詩が、二か月続けて掲載された。


最初は、死にたいとつづった手紙。次に僕の作った詩。

編集者のコメントで「どうか死にたいなどと言わず、生き抜いて下さい」と書いてあった。月刊バスケットから掲載された雑誌が送られて来た。


とても励みになった。

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