第33話 応援歌

 六月になると、足の痛みもほとんど無くなった。


 応援団の練習がメインになっていた。野球部の甲子園予選が始まるのだ。


 毎日、一時間みっちり練習した。


 川崎商業名物の応援歌が五パターンある。その一つがガチャガチャと呼ばれるもので歌詞は、


「ガチャガチャ、ガチャガチャ、ピュードンドン、雨が空から降る時も、太陽が西から出る時も、今日の勝利は我が川商」


これを空手の型を使い演技するのだ。


 商業高校ならではの、そろばんを使った応援歌もある。こんな歌詞だ。


 「川商良いとこ一度はおいで、可愛い彼女が待っている。嫌じゃありませんか男子校、女、女と追い回す、それじゃあ試合に勝つわきゃない、それじゃあ試合に勝つわきゃない」


 応援団は総勢百人くらいだ。全員が応援歌を演じるとかなり迫力がある。練習はかなり厳しい。一時間、喉が潰れるまで大声を出し続けた。


 野球部員は応援団免除だ。応援団の練習が終わると、各自所属する運動部の練習を行った。


 甲子園予選は、一回戦で負けた。ガチャガチャを披露した時は、相手高校から「おお!」とどよめきと歓声が起きた。


 野球部が敗退した為、応援団の練習がしばらく休みになった。

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