第20話エルミシアVSガスマスク
時は少し遡り、スカルがエルミシアから指示を受け行動し始めた直後のこと
「どういうことだ……?」
爆発音のした方に来たのだが、そこは校舎1階の廊下。文化祭の途中であったならそれなりに多くの人が居るはずなのに誰もいない
「いやね?やっぱり大物と戦うならさ。ギャラリーはむしろ邪魔になるっしょ?だから人払いしといたってわけよ」
背後に立つ男を視覚を移動させる魔法を用いて正面を向いたまま見る。態度は軽薄だが見た目は無骨なガスマスクが特徴的な男だ
「随分と不躾な男だな。勝手にこの学院に侵入しておいて人払いとは……貴様は始末の対象だ。悪いが命は保証できない」
「そりゃこっちのセリフだぜ。人払いまでしてこのフィールドを用意したんだ。せいぜい俺が楽しめるように足掻いてくれよ」
その言葉が終わると同時にエルミシアの横の壁が爆発する
「なるほど、魔法陣がそこら中に設置されてるということか……全て潰してやる。真正面からな」
しかし、エルミシアにただの爆発が効くわけもなく簡単に防がれてしまう
「そう言われると俺も対抗心を燃やしちゃうぜ魔法序列8位【
◇◇◇
(期待外れだなぁ……俺のトラップを全て防いでるのは凄いとは思うけど、全部ギリギリだし、攻める余裕とか全然ないし……案外弱いんだなぁ)
「ほらほら、もうちょっと気張ってくれないと頑張って設置した甲斐がないだろ?」
男は余裕の態度でエルミシアを煽り続けるが一向に反応しないエルミシアに興味を失いつつあった
(喋る余裕もないのかよ……魔法が上手いだけで戦闘は下手って事かね。魔法序列が8位って言っても戦闘力ランキングじゃないからねぇ)
男はもう終わらせるつもりで最大威力のトラップを起動する
それは破壊特化の魔法を5種類混合させ、圧縮封印した特殊な魔法陣。そんな物が描ける時点でもう既にこの男は普通ではない
「ぶっ飛びなぁあ!」
廊下の全てを吹き飛ばしてしまうのではないかと思ってしまうような威力の爆発がエルミシア目掛けて飛んでいく。しかしエルミシアは避けるつもりがないかのように棒立ちしている
爆風がエルミシアを包み込む
「中途半端な魔法師だな。魔力の扱いは一級品だが……魔法陣を使わなければまともに魔法を使えないのか?」
否、避けるつもりがないのではない。避ける必要など無いのだ。エルミシアは最上級の防御魔法で全てを飲み込む破砕の波を防ぎ切って見せた
「さっすがぁ!だけど俺の魔法陣はまだまだあるぜ。アンタとの戦闘中にも追加で描き続けた。このフィールドでアンタに勝ち目はねぇよ」
エルミシアは心の中で目の前の人物を可哀想な男だと哀れんでいた
「私が手加減していることに気がついてないのか?だとすれば相当おめでたい男だな」
その言葉に男は激怒する
「あぁ!?アンタは俺の魔法陣に手も足も出てなかっただろうが!」
男は叫びながら廊下中に設置された魔法陣を大量に起動し、エルミシアを攻撃する
「違和感に気が付かないのか?あれだけ暴れて建物がこんなに綺麗なわけないだろう」
エルミシアの言う通りだ。あれだけの破壊特化の魔法を連発したのに掲示物などは乱雑な吹き飛んでいるが壁や柱自体は全くと言っていいほどに無傷だ
(こいつ………俺のトラップを回避しながらも建物守ってやがったのか……規格外過ぎんだろ)
「次はこちらから行こうか…【
エルミシアの周囲に無数の魔力で出来た剣が浮かんでいる
(数は異常に多いが……あくまで魔力で作られたレプリカだ。形が剣なだけで【
「この剣は自立起動魔法陣が組み込まれててな。私のお気に入りなんだ。しっかりと味わってくれ」
宙に浮かぶ無数の剣がそれぞれ自立して動き始める。その殆どが壁や床に突き刺さる
「んなっ!俺の魔法陣が!」
壁や床に突き刺さった剣は全て男が設置していた魔法陣を正確に破壊していた
(こんなの勝てるわけねぇ。逃げの一手っしょ)
男は靴底に仕込んだ加速の魔法陣を起動し、床を強く蹴りエルミシアとは逆の方向に逃走する
「タイミングのいい奴だな。いいだろう、トドメは譲ってやる」
男が走る先に1人の教師が歩いてくる
(人払いはしたはずだが……まぁいい、邪魔すんならぶっ飛ばすだけだ。ここで1番強いのは【
「どけや!吹き飛べ!」
手袋に仕込んだ【
「…それが他人に物を頼む態度か?どいてくださいだろうが」
しかしその教師は紙一重で【
「がぁっ!」
凄まじい威力の蹴りが男のガスマスクを砕き、男の意識を刈り取る
教師は佇み口ずさむ
「こっちの方が楽だったな。先にこっち来れば良かったぜ」
白髪の悪魔は気怠そうにエルミシアの元に歩いて行った
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