第17話反撃開始

「ゼクス、とりあえず教室に結界を張れ。あと私の武装を全部取り出せ」


エルミシアからの指示通りスカルは迅速に行動を始める


「敵の数は分かるか?」


「私が感知できるのは3人。1人は既に理事長と下の階で戦闘を始めています。1人は屋上で停止していて、最後は……ご主人様の魔術工房に居ます」


(理事長が戦ってる奴は任せよう。私の出る幕じゃ無い…屋上の奴は後で仕留めるとして、まずは私の魔術工房にいる奴からだ。あそこには魔法装置が多すぎる…占拠されて魔力爆発でも起こされたら被害は甚大だ)


スカルが現在いる校舎から見て南に位置している工房の近くには生徒たちが出店していた出店が並んでいる。当然客も多いはず、即座に対処しなければ生徒と一般客に被害が出るだろう


「ゼクスは結界を張ったら校舎に残ってる人をここまで連れて来てくれ、ここは他よりはマシな安全性がある。私はここから工房にいる奴を狙撃する」


ゼクスの収納魔法から取り出された武装の一つであるスナイパーライフルを手に取り、窓から銃口を出す


「こっから先生の工房まで300mは距離があるんだぞ!?しかも建物の視覚だ、それに敵がどこに立ってるか把握出来てないだろ」


レッドがスカルに指摘する。確かに、スカルがしようとしている事は無謀だろう。建物によって遮られた工房の、さらにどこに立ってるかも分からない敵をこの場から狙撃して撃破しようと言うのだ


しかしスカルは動じない


「レッド、一流の狙撃手は弾道を予測して曲げる事が出来なきゃなれないんだぜ」


スカルはライフルの引き金を引く


◇◇◇


「旦那の情報通りだぜ。流石は16位の魔術工房だ。いい設備が揃って…」


スカルの魔術工房に潜入していた男の声を遮り、窓ガラスが大きな音を立てて割れ男の足元に弾丸が突き刺さる


(トラップ……じゃねぇよな。窓割れてるし、狙撃か?つまりそこの窓から視認できるような場所に狙撃手がいるって事か…て事は死角になる窓の下に居りゃとりあえず安心だな)


「旦那、今の音聞こえたか?狙撃手がいる。場所をどうにか割り出…あ?」


キィンという金属同士がぶつかり合ったような音と共に腹部に激痛が走る


(どういう事だ!?確実に死角に入ったはず……くそっ、ここは危険だ。とにかく早く出ねぇと)


男は即座に移動し、ドアを開け逃走を図ろうとしたが……


ドアを開けた瞬間に無音の弾丸にて脳天を貫かれ絶命した


◇◇◇


「お見事ですご主人様。しっかりと敵の撃破を確認しました。結界も貼り終わりましたので、先ほどの指示通り私は校舎内に残ってる人の避難誘導に出ます。ご主人様もどうかお気をつけて」


敵の行動予測と弾丸の跳弾によって敵を撃破に成功した事をゼクスはスカルに伝える


「おう、そっちは任せたぞゼクス」


(次は屋上の奴……この格好じゃ戦いにくいし、とりあえず戦闘服に着替えるか)


「お、おい!なんで脱ぎ始めてるんだ!?」


スカルがいきなり脱ぎ始めた事に顔を赤らめながらレッドが問い掛ける


「着替えるからに決まってんだろうが、こんな格好で戦えるか!……まずはナイフが6本…ハンドガンが2丁…ブレードが1刀…」


「悪りぃが女子達、先生を囲んで隠してくれ……男子は全員あっち向け!」


他の男子がスカルの下着姿に釘付けになっているがレッドは思いのほかウブだった


そしてしばらくしてスカルが軍服に似た戦闘服に着替え終わる


その姿は普通の軍人とは違ってかなり異質なものだ。身につけている武器が普通の魔法師とはかなり違うものになっている


魔法師は基本的に魔法で戦うため、武器を持つもの自体が半数程度しかいない。例え武器を持っている者でも、魔法の補助や魔法を付与して戦うため多くても2〜3個程しか武器を持たない


拳銃を使うくらいならば【弾丸ショット】を使えばいいし、剣を使うなら【切断カッター】を使えばいい。武器に出来て魔法に出来ない事は少ないのだ


しかしスカルはかなりの数の武器を身につけている


両足のホルスターに片側3本ずつナイフを入れてあり、計6本


左右の太もものホルスターに銃が1丁ずつ、さらに腰のベルトに換えのマガジンが12個


指先と掌に魔法陣が描かれた手袋を両手に嵌めて、背中には1本の鞘に入ったブレードを背負っている


その姿に教室にいる者は皆唖然としている


「よし、じゃあ行ってくる。お前らは絶対にこっから出るなよ」


スカルは教室を出て屋上へと向かう


(白昼堂々と何が目的で攻めて来たかは知らねぇけど、ガキ共の祭り邪魔してただで帰れると思うなよ)


白髪の悪魔が牙を剥く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る