第二章「溺愛と背徳」
「クリス…もういいよな?君を抱いても…」
「あの…テル様」
「なんだ?」
(テル様の前で言うのが恥ずかしい)
「どうした?怖いのか…?」
(さすがに…無理か?まあ、俺はもう焦る必要などないな)
「はい。まだ夫婦にはなっていませんので」
「そうか。呪いが嫌なんだな…」
「はい、そうです」
「結婚したら、すぐ無くなるよ。安心しろ」
「でも…。分かりました。呪いはテル様の手によって無くなるのなら、この呪いと闘ってみます」
(大丈夫か…?本当に)
「平気です、テル様」
「そうか、分かった。では、早速始めるぞ?」
「はい、よろしくお願いします」
二人は深くお辞儀をし、早速秘め事を始めた。
「あっあの…」
「どうしたんだ?クリス?」
「いえ…あの仮面は、いつも付けないといけませんか?」
「まあ…な。魔界でだとそうだ」
「人間界では…?」
「平気だ。完璧に隠せるよ」
「そうなんですね。それは良かったです」
(惚れる理由は、これか…)
噂でよく耳にする名前と種族。
クリスは、魔界一の美女と呼ばれる程の美しさを持っている。母譲りのおかげだ。
長くて滑らかな金髪と透き通った水色の瞳に、薄ピンク色の唇。
男なら誰もが惚れるだろう。
「テル様…?どうかしましたか?」
「いや…ただ君の美しさに惚れる男達は、誰もが君に魅了してしまうだろうと思ってな」
「え?」
意外と素直に本音を伝えるテル。それに戸惑うクリス。二人はお互い瞳をじっと見つめ、テルはゆっくりとクリスの顔に近づけ、そっと自分の左手で彼女の顔を支えながら、優しくキスをした。
「んっ…」
何度もキスを交わしながら、お互いの目を逸らさなかった。
「テル様?」
「クリス、すまない」
「え…?何を?」
テルがクリスの唇をそっと優しく舐め、自分の舌を入れた。
「んんっ…んんん!!」
(すまない、クリス…)
「テル様。あ、あの…!!」
「なんだ?どうした?」
「テル様も吸血鬼ですか?」
「そうだ」
「しょ…食事でもしませんか?」
「え?いいのか?」
「もちろんです。夫婦ですから…」
「じゃあ…」
「どうぞ」
恥ずかしがりながら、テルはクリスの長くて滑らかな金髪を横にどけ、食事を始めた。
「んっ…」
(なんで…体中が熱くなるかな…?もしかして、テル様に血を吸われたせいで…?)
(本当に愛しく思ってるよ、クリス)
「テル様…?」
「ああっ…!!」
いきなりの吸血にクリスは身体中がビクビクと電流が走ったかのような感覚になった。
(どうしよ…。このままだと私…!!)
「感じてるのか?」
「だめ…!このままだと…!!」
吸血に愛撫されたせいか、クリスは更にテルの行為に戸惑いながらも、ちゃんと受け入れるようにした。
「テル様…」
「なんだ?」
「どうして、こうなりますか?」
「なにが?」
「体中が焼けるように熱くなってくるんです」
息が多少荒くなったクリスをテルは優しく抱きしめた。
「テ…テル様?」
「クリス。もう我慢できない」
「え?」
ベッの上で、恥ずかしがりながら自分の事を見つめるクリスを自分は幸せ者だと実感した。
(このままでも…いいよな?)
「テル様…!?」
「すまない…」
「君のせいじゃない。俺の責任だ」
「その呪いは…いつか解ける時が来るが、まだ私たちが結婚して、夫婦にならない限り、その呪いは解くはずがない」
「え?」
「だから試してみたいんだ」
「初めてなので、優しくしてくれませんか?」
「分かった」
高鳴る鼓動。熱くなる頬。
「結婚して、テルと夫婦になるまで、何度肉体関係を持ったとしても、処女のままに戻る」という呪いだ。
「痛かったから言ってくれ」
テルの剛棒がクリスの秘部をゆっくりと拡げた。
「ん…」(ちょっと痛いかも)
「クリス、大丈夫か?」
「は…はい」
苦笑いをしながら、クリスは初体験を甘く感じる事ができた。
(幸せだな…本当に。でも、テル様の妻になれるのかしら?)
クリスは少し動揺しながら、初夜をテルとゆっくりと過ごせた。
(本当は、まだこのままでいたい。だけど…)
テルの顔はどこか深刻そうに考え事をしているようだ。
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