第23話 帰国と秘密

あの後、国王はすぐに表情を戻し、来国を歓迎してくれたが、やることはやったため、アルベルトは一足早くベリル王国に戻ることとなり、数時間前ベリル王国の王都に着いた。

カルロスはしきりにこちらを怪訝そうに見ていたが、何も言わなかった。

ベリル王国にいるシェリーにはもう先のことを伝えているだろうと思う。

カルロスは本当に直るのか、経過をみている。

これから事態を報告するため王宮に行くところで、アルベルトはキャシーに捕まった。


「団長、主がお呼びです」


キャシーはもともと俺の従者ではない。

父の、ルービィア王国国王の従者として召されている。

アルベルトは手紙をしたため、王宮へと届けるよう指示した。

そろそろだろうとは予想していただけに苦笑が漏れる。

もう、終わりにしたい。

母は、俺に別れを告げた後、どこかに身を隠していた。

しかし、俺が見たのは、母の凍った姿だった。


☆★


「え?アルベルトからの手紙?おかしいわね、こちらへ来るように言っていたのに」


シェルナリアがアルベルトからの手紙を受け取ったのは仕事も終わり、自室に戻ろうと腰を上げた時だった。

執事から手紙を受け取りペーパーナイフを使い中身を取り出す。

手紙はシェリーへ、から始まっていた。


────────

シェリーへ。

シェリーが手紙を受け取っている頃、俺はもうそこにはいないでしょう。

急ではありますが、私は自国へ帰らなければならなくなりました。

そこで、手紙でデザール国の状況を伝えようと思います。

結論から言うと、デザール国の氷結病の特効薬を私は知っていました。

それは自国の、とても大切な人がなってしまった病だったからです。

だから、デザール国の病はじきに終焉を迎えるでしょう。


私の自国では、人を人とも思わない非道な行いが今もなお起こっています。

私は今までそれらの事から目を背けて来ました。

しかし、もう限界なのだと感じています。

私は立ち向かわなくてはならなくなりました。

急な別れになってしまったこと、申し訳なく思っています。


でも、これだけは信じていて下さい。

必ずあなたを迎えに行きます。


私はシェリーと16の年に結婚したいと考えています。

私と結婚してくれますか?


アルベルト

────────────


「…なによ。勝手にいなくならないでよ」


ポタポタと目から滴が垂れていた。

自分勝手なアルベルトを憎らしくも愛らしいと感じているこの気持ちこころはなんだ。

私は知っているのだ。


私はアルベルトの事が好きだと。


「……はい。お待ちしております」


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