第22話 王と謁見
カルロスはすぐに話を通したようで、謁見は3日後に行われた。
白亜の城の中に入り、王の御前であるため片膝をつき、顔を伏せる。
「面を上げなさい。さて、私に話とは何かな?」
王は30歳とは思えない程若く見えた。
気候ならではの褐色の肌に白金色の髪、程よく筋肉のついた、体格の良さもありそう見えたのだと思う。
王はさっそく問題に入った。
アルベルトははいっ、と大きく返事をする。
「デザール国王に聞きたいことがございます。現在のデザール国の状況はご存知でしょう。氷結病、という病が蔓延していると聞いております。つきましては、ベリル王国から派遣されてきました、私、アルベルトが治させていただきます」
「「何っ!?」」
王は勿論のこと、ここまで一緒にいたカルロスまでもが声を上げた。
アルベルトはこの病を知っていた。
「私はこの病を知っているのです。他の地域では、
そう言って、アルベルトは肩掛け鞄から1つの植物を取り出した。
「これは
感染源には二通りの使い道がある。
1つは今のように感染源に問題がある場合。
もう1つは感染源を調べることで特効薬を作る場合である。
デザール国王のみならず、カルロスまでもアルベルトの言葉を疑っているようで訝しげにこちらを見ていた。
「私は3日前ある方から感染源となっているであろう場所を聞くことが出来ました。しかし、最初の感染者を見つけることは出来ませんでした。国王は最初の感染者をご存知ですか?」
デザール国王は少し考えた後、意を決したように口を開いた。
「感染者はもうすでに亡くなっている。すまない」
デザール国王は随分頭の低い人のようだ。国王がむやみやたらに頭を下げることはあり得ないのだが…。
「いえ、想像通りでしたので、問題はありません。感染源にはもうこの植物を植えておきました。知り合いにそこで育った実の収穫を頼んであります。この実を煎じて粉状にし飲ませることでじきに良くなるでしょう」
「それは、信じてもよいのか?」
国王の目は真剣だった。
それだけ民のことを思っているのだと感じる。
「はい。私の母、リリアナに誓い」
リリアナの名前を聞いたとたん、国王の目が見開かれる。
「そ、そなた、リリアナと申したか?」
「はい。国王はご存知ですよね?」
「……ああ。そうか、リリアナの子か」
アルベルトがリリアナの子だと聞いた国王は嬉しいような、悲しいような、寂しいような表情を浮かべた。
───やっぱり。
アルベルトは確信していた。
彼こそが、母の愛する人なのだと。
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