第2話 読んでください2

俺は濁った池の前にいる。


「おい、ここでいいんだよな?」


俺は通信機の向こうにいる仲間に声をかけた。


『うん、反応を見ている限り、そこにドでかいヤツがいるみたいだね。早く釣って来てよ』


「簡単に言うなよ。こっちは命を懸けるんだから」


『そう言わないで、お願いね』


「勝手に切られた」


しかたない。


そう思って腰のガンホルダーから、グレネード拳銃を抜く。


池の中に向け、引き金を引くいた。


水中に浄化の光が撒かれる。


「ブオオオオオオオオオ」


低いうなり声を響かせ、この池の主が姿を現した。


ヘドロの塊のような不気味な姿だ


「おい、こっちだ」


俺は池の主に背中を向け、走り出した。


「ついて来てくれよ」


俺の役目は誘導。


この主を、仲間の元へと連れて行くのが使命である。


「ブオオ」


後を振り返ったら、主は明後日の方向に向かって進んでいきそうだった。


「こっちを見ろ」


俺は紐で体につるしていたサブマシンガンを手にし、弾を撃って注意を引く。


「効いていないな」


この程度の攻撃では、ヤツの体にダメージを与えられないらしい。


しかし、俺に怒りを感じたようで、池の主はこちらを追ってきている。


「うわ」


液体を吐いて、俺を攻撃してきている


「結界の効果が切れる前に、終わらせてくれよな」


ここは市街地近く。


結界によって、俺達は認知されないようにしてある。


『もう少しだよ。頑張ってね』


インカムから仲間の声がした。


「言われなくてもそうするよ。死にたくないからな」


液体がかかった部分が、溶けてきてるんだが。


「ここだな」


四方を高い建物に囲まれているこの場所。


俺は何とかヤツを誘い出すことに成功した。


『ありがとね。じゃあ、いくよ。ポチっと』


押されたボタンに連動し、設置されていた仕掛けが作動する。


建物の上に置かれていた重機関銃。


これが全て作動し、池の主を襲った。


「姫子。俺まで巻き込む気か?」


間一髪、その場から逃げ出すのに成功したが。


『いや、直前に角度を調節し、あなたには当たらないようにしておいたからさ』


「本当かよ」


かなりウソ臭い。


しばらくすると、弾が切れたのか射撃音はやんでいた。


「おい、倒しきれていないぞ」


ヘドロの半分ぐらいが崩れているが、池の主は生きていた。


体を再生している。


『大丈夫だって。姫子ちゃんに任せなさい。ここからなら狙えるから』


「どういう意味だよ?」


『こういう意味だよ』


ドカーン


何かが飛来してきたと思ったら、主の近くでさく裂した。


それによって、再生中だった主は吹き飛ぶ。


「グレネードランチャーか?」


『うん、そう。対物ライフルを利用したの』


「よく、そんな重い物を持ち運べるよな」


姫子は名前に相応しく、小さい女の子なのに。


『それよりもさ、本当に倒しちゃってよかったのかな?』


「仕方ないさ、俺達は上の命令に従うしかないんだから」


『本当は無害な存在かもしれなくても?』


「ああ、そうだ」


『機関銃陣地は協会のスタッフが撤去してくれるから、今日は一緒に帰ろう』


「いいぞ」

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