バトルもの

ブッキー

第1話 読んでください

深夜は俺達の時間だ。


俺の手の中にあるサブマシンガンが、心地いい音色を響かせ、弾を吐き出し続けている。


「グググ」


「命中したか」


目の前にいるバケモノは足こそ止めてこちらを気にしたが、致命傷にはほど遠いようだ。


二本の足で歩き、長い手をこちらに伸ばしている。


「協会お墨付きの、破魔呪弾なのに」


並みの悪霊ならひとたまりもないだろうが、俺の前にいるヤツでは違うらしい


「それなら……」


俺は仲間を頼ることにした。


「雪子」


「呼び捨てにしないで」


制服姿の狩人が黒髪をなびかせ、戦場に躍り出る。


「俺が注意をそらすから、お前がコイツを倒してくれ」


「お前って言うな」


そう言いながら雪子は、腰に差した刀を抜く。


夜の灯りを反射し、刀は白銀のきらめきを放った。


「グワー」


バケモノは奇声を発しながら、その右腕を振り被った。


どうやら、危険だと思った雪子を攻撃するようだ。


「いくぞ、耳をふさげ」


俺は腰にあるガンホルダーから、単発式のグレネード拳銃を抜く。


装填されているのは、退魔用の特殊弾だ。


そのまま角度をつけ、魔弾を発射した。


ドーーーーン


霊能力を持つ者しか聞こえない音を響かせ、それは破邪の光を放つ。


「グワーーーー」


流石のバケモノも、これは効いたようだ。


「我に加持を与えよ。不動明王」


呪文を受けて刀は白銀から、紅蓮の色に変わる。


雪子は上段から振りかぶり、バケモノを切りつけた。


「グワーーーーーーーーーー」


浄化の炎に包まれたバケモノがのた打ち回る。


しばらくすると、バケモノは灰に変わり、風へ流されていった。


「誰か来る前に退却するぞ」


「言われなくてもそうするわよ」


俺達はこの世の裏側で動く退魔師。


今日もどこかで魔との戦いは続く。

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