第1章 10話 体育祭 後編

クラス対抗のバトルロワイヤルが開始されてから数分後、優人はクラスの指揮を取っていた。

「時雨は体育館、ユウガは昇降口の方を頼む」

「「了解」」

耳に取り付けた無線機から二人の返事が聞こえて来る。

「さて、俺もそろそろ動くかね、指揮取るだけじゃあ鈍っちまう」

優人が背伸びをしながらあくびをしようとした瞬間、わずかではあったが殺意を感知した。

「誰だ?」

優人が殺意を送ってきたであるだろう方向を向いた。

「いやー、完璧に気配を消したと思ったのに、君、やるね、僕は関口エンヤだ、よろしく」

「雨宮優人だ、敵軍の真っ只中に入って来るなんて良い度胸してるな」

優人が殺意を込めて不適に笑う。

次の瞬間、エンヤが腰に掛けていたショットガンを優人に向けた。

「っ!!」

銃弾が放たれた瞬間、優人は大きく身体をのけ反らせ、銃弾を避けていた。

「えっ!? 今のよけるの!?」

エンヤが驚きの声を上げた次の瞬間、優人は大きく刀を振りかぶり、その刀がエンヤの頭に当たる寸前、轟音が響いた。

「今の体育館の方か!? 」

エンヤが叫んだ。

「体育館... ...はっ!? 時雨!!」

優人が超スピードで体育館に向かって行く。

体育館に行く途中に、無線機を起動し、ユウガに話しかける。

「ユウガっ!! 体育館にいくぞ!! あそこには時雨がいる!!」

「ああ! 分かった! すぐに追いつく!」

ユウガと短い会話を交わした後、優人は体育館に着いた。

ひどい有様だった。天井には穴が空き、床は焼き焦げていた。

だが、優人はそれらを気にもせず、ある方向を見つめていた。

その方向には、一人の男が時雨を抱えて立っていた。

「この娘は我々、公安が保護する」

「なっ!?」

優人は絶句した。

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