第1章 9話 体育祭 前編

今までしてきた練習も終わり、今日は体育祭本番だ。

「はぁ~、本番が来ちゃったよ」

優人が心底だるそうに言うと、ユウガが話しかけてきた。

「まあまあ、お前のおかげで動きも様になったんだから案外優勝行けるんじゃねぇか?」

「いやいや、三年とかガチ勢やら脳筋やらばっかりだぞ? 学生優勝を目標にしとけ」

「それでも優勝はねらうのな」

そんな雑談をしていると、いつの間にか開会式は終わり、教室に移動し始める。

教室に着いたら、生徒は次々に武器の準備をし始める。

「俺はこれとこれと、これかな」

優人が手に取ったのは、刀二本に、小刀一本だった」

優人が武器の点検をし始めると、ユウガが話しかけてきた。

「お前、指揮取る側なのに何で戦闘準備してんだよ」

「別に良いだろ、指揮取る側が戦闘に参加しちゃいけないなんてルール無いんだからさ、っとお前はやっぱりダガー二本なのな」

優人達がそんな会話をしていると、ロングブレード一本と、ハンドガン一丁を持った時雨が近づいてきた。

「二人とも! 今日は頑張ろう! 目指せ! 優勝~!」

時雨は学校で初めてのイベント事にテンションMAXだった。

そこに灯火の声が響いた。

「お前ら! 今日は祭だ! 優勝なんかよりまずは楽しんで来い! 私からは以上だ」

いつになく大声で灯火が叫んだ。

その瞬間、クラス全体から活気に満ちた声が教室内に響いた。

「はぁ、俺こういう熱血展開苦手なんですけど、萎えるわー」

明らかに怠そうな優人に時雨が声をかける。

「まあまあ、そんなにぐったりしないでよ、後で蜂蜜パイ奢ってあげるから」

「よっしゃぁぁぁ!! フフフ、久しぶりに俺の本気を見せる時が来たようだな!! 三年など蹴散らしてくれるわ!!」

優人もやる気になったようだ。

「おいおい、蜂蜜パイでこんなに本気でんのかよ、つか若干口調まで変わってね?」

ユウガがあきれ顔でそう呟いた次の瞬間、校内放送が流れた。

『ただいまから、バトルロワイヤルを開始します』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る