第1章 6話 チョーク、それは人を殺しかねない兵器

灯火と優人の戦いの後、通常の授業が始まった。

優人は人並に勉強はできる。だが、さっきの戦闘の疲れと、余りに暖かかったため、かなりの睡魔に苛まれていた。

(やっべぇ、超眠い、でもここで寝たら灯火先生に何されるか分かったもんじゃねぇ、ここは起きてるしか... ...な... ...い... ...)

そして優人は意識を失った。

優人が寝はじめてから約三分後、灯火は後ろで寝息を立てている存在に気がついた。

「おー、雨宮、私の授業で寝るとは良い度胸だな」

そう言うと灯火はチョークを優人に向かって物凄い速度で投げつけた。

そしてチョークは優人の頭の中心に当たると、余りの威力に粉々になった。

「ゴフッ!」

優人は睡眠状態から瀕死状態になった。

「んー、あぁ」

呻き声を上げながら、優人が目を覚ますと、そこは保健室のベッドの上だった。

しばらくぼーっとしていたが、優人は自分の腹の辺りに、何かが乗っていることに気がついた。

「時雨か... ...」

優人の腹の上で、時雨が寝ていた。

「看病してくれたのか、ありがとうな、時雨、にしても灯火先生俺に何した? すっげぇ頭痛ぇぞ」

優人が頭を触ってみると、チョークの粉がついていた。

「え? マジ!? チョークであんな威力出せんのかよ、あの人もう人間じゃあ無ぇな」

そう言いながら時計を見ると、もう午後の訓練の時間だった。

「おーい時雨、もうすぐ訓練だぞー」

優人がそう言うと時雨は目を覚ました。

「んん、あ、優くんおはよー、あれっ? もしかして私、寝てた?」

「ああ、ぐっすり寝てたぞ? とにかくもうすぐ訓練だ、行こうぜ、時雨」

「あ、うん、優くんもう大丈夫なの?」

時雨が心配そうに優人に尋ねる。

「ああ、大丈夫だ、まだ少し頭が痛いけどな」

そして二人は訓練場所である体育館まで行った。


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