2-14
アリアはマリシアスをエスコートする形で城の一階に降り、城壁を目指した。
側仕えには目的を話、招待客を自ら案内する旨を伝え、幾つのかの予定の取りやめる。宴の身支度はしなければならないが、それでも十分な時間が作れた。
そしてしばらくすると、血相を変えてこちらに向かってくる
「姫様、その者をどこで、、、」
能力的には彼女達の方が遥かに格上だが、これが「頂城」における城主の娘と言う立場のアリアの「力」だ。
アリアは一度マリシアスに顔を向け「大丈夫だと」目線で伝え、事前に打ち合わせた通り、彼をその場に残して
アリアは畏まる
「誰が男爵を案内したのですか?」
「私が、、、」
問いに対してすぐさま一人の
アリアは静かに、だがハッキリと
「御役目ご苦労さまです。マリシアス様とは庭園で楽しい時間が過ごせました、これからあの方の
「どうして彼から目を離したの?」
「恐れながら、、、」
「緊急事態です!!」
振り向いた
その時の状況を想像するとちょっと笑える。
「それでも貴方が最後まで案内すべきだったわね。」
詰問の様なアリアの問いかけに
「申し訳ありません姫様、しかし万が一にも城内を奴隷の汚物で汚すような事に成れば恐れ多くて、、、」
「それで、城内に入れる事が出来なかった訳ね。」
状況判断は的確なのかもしれない、類が及ぶことを恐れて随伴しなかった可能性もある。想定外からの突然の「死」の恐怖、その前には誰もが判断を誤る。アリアも先程その事を充分に味わった。
だが腑に落ちない事もある。
「来客が城内にあのような持ち込む時の対処は、方達が最も手慣れているはずよ、だとすれば不手際ね。事前の処置は取らなかったの?」
「全ていつも通りだったはずなのです!!」
「、、、何故このように成った、、、」
マリシアスも
なぜこうなったか。
策を弄したとか謀があったと言うもとでは無い、やはりあの「支配者に物怖じしない」コーボルトが特殊なのだ。
「お父様のお許しは?」
「伺ってておりますが、、、」
そんな時後ろから声が掛かった。
「あ、あの、アリア様。もうその辺でよろしいのでは?非があるのは私共の方で、その方をあまり責めないで上げて下さい、、、」
マリシアスが心配げにこちらを見ている。
一同はまず、城壁に設けられた物見櫓に向かった。
道すがら突然
「ね、何でオシッコであんなに騒ぐの?」
マリシアスは慌ててギークを抑えた、
ホントに無礼な
アリアは腹立たしかった。だがコーボルトの指摘は正しい、支配者の序列にある亜人達が揃って、害意も力も持たない奴隷一人で何故こんなに騒ぐの?
アリアは思った。力の誇示の仕方がおかしいのだ。父の治世のほころびをアリアは見た。
変えなければ、変わらなければいけない。
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