逃亡の花嫁
アリアはコーボルト達の事を考え過ぎて迷走する思考と確証のない疑心を失笑する。
アリア自身その昔、狩りへ行き、深い森の奥にあった
「観賞用」と呼ばれ、専門の奴隷商によって「血統」を管理され。毛並み、外観、躾けと「特別な芸」を施されたコーボルトを父に連れらて行った「
全ては「力の神」に属する「竜の血筋」としての嗜み、「
「思い込んだり侮ると、色々見落としちゃうよね~」
「力の神」のお考えを自分ごときが測れるはずもない、むしろ
膝元で眠りに就くコーボルト達を見ながら、もしかすると楽園の夢でも見ているのだろうかと思う。
「あの方」の話によれば、「調和」と「力」の神の争いに関わらないと決めた「自由の神」の加護を受けた地に
この世の自分の知らぬ知識、価値観を語る存在。
「あの方」に会って自分はすっかり変わってしまった、、、
冷静な部分が己をそう評価する、この人生の流転もあの時は想像だにしなかった。
アリアは、ベルトのポーチから残り少なくなった銀貨を一枚取り出して眺める、金を使うと言うコトにこれ程悩む日がこようとは、、、
それが「引き換えたモノ」と等価であたのだろうか?とアリアは思う。
もう少しぐらい、、、いや、ババーンと
「竜の血筋」に与えられた加護、「牙」を預けただから。
そう、預けたのだから、、、
アリアの幼少より一族との交流があり、自身に友愛を示し、父兄にない別種の強さと立ち振る舞いが魅力的だった、幼い時分には焦がれていたのかもしれない。
父や兄達にとって協力者であり、そして微笑みと優しさの仮面の下で策謀を巡らす、敵でもある「おじ様」。
同じ「竜の血筋」であり広大な領土と軍団を持つ
だが「
提示された条件は選択肢と呼ぶには程遠かった。だがそれで「
「ま、良いか~」
アリアは誰ともなく独り言呟き、長く吐く息ともに胸の内の憂鬱を吐き出す。
平静を装っても、どかで「これでよかったのだろうか?」と自身の選択に怯え悩むのは生まれて十五年程でしかない彼女の若さの証だ。不死ではないが竜の血筋は無限の時を生きる、彼女はまだ子供に過ぎない、経験不足、未知に対する恐怖と迷い。
だが自分の中で燃え盛る「火」を彼女は無視できなかった、「理」をもって
だが、自身で御せない衝動に身をゆだね、興奮する自分が居る。
「もろもろ含めて私自身だものね、」
アリアは膝元に目を向けた、薄く禿げた粗末な毛布に包まり小さな体をさらに丸めて小さくなった
そうだは「あの方」との間にも沢山の子供を作ろう!!
幸福な幻を見るのは身を寄せ合って眠る彼らの愛らしさと、暖かさのせいかもしれない。
だがこの感覚も、元の生活、自分のまだったら味わう事は無かっただろうとアリアは思った。
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